清少納言「ものの恥ずかしきことの数知らず」

歴史に名を残す人物たちも、実は「愚痴」をこぼしながら生きていた! 渋沢栄一から夏目漱石、豊臣秀吉にナイチンゲールまで、人生の苦境で言わずにおれなかった愚痴150篇。女性への未練、お金の無心や仕事の焦り、家族への恨みなど現代人と変わらない不平不満です。読めばなぜか勇気がわいてくる、愚痴ノンフィクション! 10月21日発売の新著『人間愚痴大全』より特別公開します。(提供元:小学館集英社プロダクション)

20代、仕事にまつわる愚痴

清少納言(文学者)

生没年不詳。本名も不明。父は歌人・清原元輔。結婚して子どもを儲けたのちに夫と離別。一条天皇の中宮定子(藤原道隆の娘)に仕える。その時の出来事などを綴った随筆『枕草子』は平安時代に栄えた国風文化を代表する名文とされる。

まるで新入社員のように不安な胸中

『枕草子』の作者清少納言は平安朝きっての才女とも伝えられる。しかし、平安貴族の暮らしなどを綴った『枕草子』は好きだが、清少納言のことは嫌い、という人は現代でも少なくない。

おそらくは、清少納言が『枕草子』の中で、「上手な切り返しトークを使ったら、中宮(皇后)から褒められた」といった自慢げな話をしたり、「○○は嫌い、○○は下品だ」などと自分の好みで他人の悪口などもガンガンいいつづけたりしているからだろう。かの『源氏物語』の作者紫式部も「清少納言は『したり顔』で、賢ぶっている」などと痛烈に批判しているのだ。

自慢と他人の批判ばかりしているようでは、多くの人から嫌われるのも仕方ないといったところか。

しかし、そんな清少納言も、一条天皇の中宮定子に仕えはじめたばかりの頃は、少し様子が違ったようだ。『枕草子』にはこんな一節も登場する。

「宮に初めて参りたる頃、ものの恥ずかしきことの数知らず。涙も落ちぬべければ……

(大意:中宮さまに初めてお仕えした頃は、恥ずかしいことばかりで涙も落ちそうだった……)

なんと、常に自信満々のように思えた清少納言も、最初はまるで入社したての新入社員のように、慣れない宮仕えに泣きそうになっていたというのだ。

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sabochin なぎこさん 14日前 replyretweetfavorite