「ワーク・アイコ・ライフ・バランス」の現在
2014年春から始まったこの連載も、今回で400回を迎えた。ずっと担当してくれている編集者は過度のaiko好きで、これまで本連載で5度ほどaiko愛について聞く機会を設けてきた。「ワーク・アイコ・ライフ・バランス」という新しい概念を提唱し、編集者自身の結婚や育児にaiko愛を混ぜ込むという身勝手な振る舞いを見せてきたのだが、周知の通り、aikoが結婚を発表した。彼は今、何を思うのだろう。正直、そこまで興味はないのだが、Zoomでの取材を敢行した。PC画面に編集者の姿が映った瞬間から「今日は語らせてもらいます」という異様な圧を感じ、画面を閉じたくなる衝動に何度もかられながら、疲弊を隠しつつ、話を受け止めた。
「当然ですが、何度も目が合いました」
編集者「まず状況を説明します。僕はaikoが結婚発表した前日、東京ガーデンシアターで行われたツアーファイナル2デイズの初日に行き、これまで観てきた中でも、最も近い4列目でライブを観ることができました。数え切れないほどのライブに行ってきて、豆粒のように見てきたaikoが、人間の肉感というのか、実体として存在していた。当然ですが、何度も目が合いました。これまで一方的に観てきたのに、向こうからの視線がありました。ああ、これで2021年が終わる、ゆりかもめに揺られながら、現実に戻っていきました」
武田「現実とはなんでしょう」
編集者「家に帰れば、子どもがいます。実は去年、3人目の子どもが生まれたばかりでして、夜は家事に育児にたくさんやることがあるのですが、この日は妻にお願いしていた。大変だけど幸せな日常に戻っていったのです」