新型コロナは全員が安全になるまで誰も安全ではない

新型コロナウイルスの変異株、オミクロン株が猛威を振るっていますが、そもそもウイルスの変異とはどのようにして起こるのでしょうか? また、それに対するワクチン接種の考え方について紹介します。

ウイルスの変異とは何か? 

ウイルスと免疫が繰り広げる複雑な攻防戦について語ってきた本連載もいよいよ最終回となりました。最後に、ウイルスが持つ変わり身の術と私たちができる対抗手段について解説していきます。

新型コロナウイルス感染症の拡大以降、ウイルスの変異という言葉を耳にするようになりました。変異とはいったいどんな現象で、私たちの免疫システムにとって、さらには私たちの生活にどのような影響を与えるのでしょうか?

新型コロナウイルスは脂質の膜・タンパク質・RNAの3点セットで構成されています。RNAは前回解説したように、ウイルスタンパク質が作られるうえでの設計情報となる物質で、4種類の塩基(Aアデニン、Uウラシル、Cシトシン、Gグアニン)で構成されています。この4種類の塩基が1列に順番に並ぶことで、暗号となってタンパク質の作り方を保存しているのです。この文字列(塩基配列)に変化が加わることを専門用語で変異と言います。ウイルスの遺伝情報に変異が生じる仕組みは、ウイルスの増殖と密接なつながりがあります。


新型コロナウイルスの構造(イメージ図) ©︎Orpheus FX/Shutterstock.com

新型コロナウイルスは自身のスパイクタンパク質を鍵のように利用して私たちの細胞の中へと侵入します。その後自身が持っているRNAを複製し、そのRNAをもとにタンパク質を作らせる、そして細胞内の膜成分を奪い取ることで大量の子孫を作ります。

細胞内で起きるウイルスRNAの複製は、私たちが使うコピー機のように一挙に丸ごとすべてを完璧にコピーするわけではなく、1文字ずつ手書きで書き写すようにして行なわれます。大元になるRNA配列を参考にして、1塩基ずつつなぎ足していくという、じつに地道でシンプルな化学反応が1細胞の中だけでも万の単位で繰り返されていくのです。

新型コロナウイルスが持つ遺伝情報は約3万塩基。これだけの文字列を何度も複製していくと書き写す際に間違い(変異)が生じることがあります。そしてこの変異によってタンパク質の設計情報が変わってしまうと、オリジナルのタンパク質とは異なる構造のものが作られ、その結果としてウイルス自体の性質が変わってしまうことにつながりうるのです。新型コロナウイルスは1年半以上にわたって世界中の人々に感染してきた結果、性質が変化したと考えられる変異ウイルスが複数発見されています。

変異ウイルスの恐ろしさ 

それではウイルスの性質の変化はなぜ問題になるのでしょうか?

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コロナ時代に知っておきたい 免疫入門

新妻耕太

新型コロナウイルスが体の中に侵入すると、何が起こるのか? チームワークを駆使し、ウイルスを撃退していく免疫細胞たち。そして免疫システムの裏をかき、数を増やそうとするウイルス…。巷にあふれる誤情報に惑わされず、正しく情報を判断するために...もっと読む

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コメント

10ricedar おもしろかったーーー 《 4ヶ月前 replyretweetfavorite

heikichi724 #スマートニュース 4ヶ月前 replyretweetfavorite

keizin0309 古くない?それとこの話は新型コロナに限らないし、強毒化よりも弱毒化する可能性の方が高いことも書いて欲しいわ 4ヶ月前 replyretweetfavorite