​床になんでも置く妻

妻が床になんでも置いてしまうのが気になる、という相談を受けた林伸次さん。実は、人によってかなり違う、床に対する感覚。なぜ人によってこんなにも考え方が違うのか、日本人の「床感」について考えます。

床に対する国民性の違い

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

僕のnoteで質問や相談を受け付けているのですが、今回は「妻がなんでも床に置くのが気になります。何かいい対処法があれば教えてください」という相談が来ました。洗濯物をたたんで床に置くそうなんです。これについて考えてみましょう。

欧米人が『ドラえもん』を見ていると、「どうしてこの登場人物たちは、床に座っているんだろう」ってすごく気になるらしいんです。文化の違いと言ってしまえばそれまでですが、例えば僕たちも、未来のロボットが出てくるちょっとしたSF映画を見ていたとして、登場人物がみんな手でご飯を食べていたら、「そういう習慣の地域の人たちが作った映画なのかな」と気になってしまいますよね。

以前、韓国ドラマを見ていたら、リビングにソファーがあるのに、登場人物がそのソファーに座らないで、床に座ってローテーブルに置いた料理や飲み物に手をのばしているシーンがありました。日本人も同じことをしますよね。ソファーがあるのに、ソファーに座らないで、床に座る人っています。

中国に椅子はあったのに、どうして日本は明治時代まで椅子が普及しなかったんでしょうか。それを調べていて「なるほど」と思ったのは、「湿度が高い日本では『地面=床』に直接座るとじめじめして過ごしにくい、だから床を地面から持ち上げる『高床式建築』が発達した。履き物は脱いで、地面から一段上に上がったところを清潔にして生活をした」という説です。だから、入り口で履き物を脱いで室内に入る習慣ができたというわけです。清潔な畳の上で生活をするので、椅子は必要なかったというわけですね。

長々と書いてしまいましたが、僕たち日本人は、床は寝転んでもいい、座ってもいい、本を置いてもいい、家庭や人によっては食べ物や飲み物を置いてもいい場所だと思っています。でも欧米人は、靴を履いたまま部屋の中に入るので、家の床にはまず座らないし、本も食べ物も置かないし、もちろん洗濯物も置きません。床は汚れていますから。

日本人は明治以降、椅子やテーブルやソファーといった欧米文化を家の中に取り入れたけど、「入り口で靴を脱ぐ」という習慣は捨てなかったので、「椅子はあるけど、床に座るのが当たり前」になったわけです。

床に物を置く人の考え方
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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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bar_bossa なぜ日本人は椅子を採用しなかったのかとか、ドラえもんが床に座ってるのが欧米人は不思議に感じることとかです。​ 床になんでも置く妻|林伸次 @bar_bossa | 15日前 replyretweetfavorite