世界史&宗教のツボ#5】世界史ベストブックス超解説

この連載では、週刊東洋経済に掲載された記事からcakes読者にお読みいただきたいテーマをピックアップしてお届けします。(提供元:東洋経済新報社)

※この記事の情報は、『週刊東洋経済』2019年12月2日発売当時のものです。

最強のリベラルアーツ「世界史」
世界史ベストブックス超解説

歴史著述家・宇山卓栄

ビジネスリーダーにとって、世界史は必須の教養。歴史を多面的・複眼的に理解するための名著を厳選して紹介する。

『世界史(上・下)』

ウィリアム・H・マクニール 著/増田義郎、佐々木昭夫 訳
(中公文庫/各1333円)

【ポイント】
・文明の相互作用が社会の変化を生む
・宗教が軸となり文明は形成される
・欧州の優位性は技術革新と民主革命

 なぜヨーロッパは、ほかの地域を支配するような優越的地位に就くことができたのか。西欧は産業革命の技術革新によって物的資源を総動員したのと同様に、民主革命によって国民徴兵制など、人的資源を総動員することに成功し、急激に強大化した。

 文明の形成においては宗教が大きな求心力を持つ。近代以前、世界各地の諸文明は相互に影響を与え合いながら分立してきた。しかし近代以降、宗教が因習や束縛など発展を阻害する要因となり、それを合理主義で超克したヨーロッパだけが飛躍した。日本人は、こうした「ヨーロッパ文明の必然的な優位」をよく理解し、それを効率的に取り込むことに成功したアジア唯一の民族である。中国人はヨーロッパの技術や思想に関心を示さず、近代化の機会を自ら逸した。また中国の清王朝やインドのムガール帝国、オスマン帝国などの多民族国家は、民族主義による結束を図ることができず、侵略に対し脆弱であった。

 本書が発表されたのは1967年。欧米中心主義への反発はポストモダンに結び付き、欧米の外にある価値や基準が見直されていた。マクニールはポストモダンを排し、ヨーロッパ文明の優位を歴史的に証明しようとした。当初は酷評された本書だが、ポストモダンがもたらす混迷へのアンチテーゼとして改めて評価されている。

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