世界史&宗教のツボ#4】中国 大矛盾の歴史

この連載では、週刊東洋経済に掲載された記事からcakes読者にお読みいただきたいテーマをピックアップしてお届けします。(提供元:東洋経済新報社)

※この記事の情報は、『週刊東洋経済』2019年12月2日発売当時のものです。

日本の常識ではわからない
中国 大矛盾の歴史

京都府立大学文学部教授・岡本隆司

 香港での深刻な対立、統計不信から監視社会まで。現代中国の抱える問題はみな歴史に根差している。本文の前に、必要なキーワードを押さえておこう。

一国二制度
 植民地だった香港とマカオの主権を中国が回復する際、一定期間は独自の経済・法制度の維持を認めた政策。

秦漢帝国
 紀元前221年に中国を統一した秦、それに続く漢の王朝政権を指す。ともに皇帝を頂点とする中央集権体制だった中原黄河中下流域にある平原を指し、黄河文明の中心地で、現在の華北地方に当たる。古代には中国と同義だった。

三国六朝
 漢の滅亡後の三国志の時代と、それに続く呉、東晋、南朝の宋・斉・梁・陳の6つの王朝の総称。

江南
 六朝時代に開発が進んだ長江(揚子江)の中下流域。後に開発された河口デルタの低湿地は大穀倉地帯になった。

契丹
 モンゴル高原東部で活動していた遊牧民。耶律阿保機(やりつあぼき)が916年に契丹国を建国、947年からは国号を遼とした。

西部大開発
 江沢民政権が2000年に決定した構想で、東部沿海地区から取り残された西部内陸地区の経済振興を図るもの。

一帯一路構想
 習近平国家主席が提唱する広域経済圏構想で、陸海2つのルートで中国と欧州を結ぶ現代版のシルクロード。

北虜南倭
 16世紀半ばにモンゴルが北京を包囲した「庚戌の変」や嘉靖(かせい)の大倭寇など、明朝に対する南北からの脅威のこと。

国民国家
 近代の西欧で成立した国民、国家、領土を一体のものとする統治形態。国民の同一性をその基礎とする。

日本人の尺度だけでは理解を誤る

 2019年6月から始まった香港での反政府デモが長期化、過激化の一途をたどっている。この問題の根源は、返還後の香港をめぐる「一国二制度」の矛盾だ。

 香港人は「二制度」の維持を重視するのに対し、中国共産党はそれを例えば、植民地の遺制と見なして、「一国」化を譲らない。そこに軋轢が生じた。

 こうした共産党の対応は、台湾との関係や少数民族の問題でも見られ、香港に限らない。目前の香港は現代中国社会の象徴であると同時に、中国史の縮図なのである。

 中国の内情は極めて多様で、バラバラといってもいい。その実態を理解するには、現代をもたらした歴史を知るのが捷径(しょうけい)だ。

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