新庄剛志の会見術

プロ野球・日本ハムファイターズの監督への就任が発表された新庄剛志。現役時代から派手なパフォーマンスで知られ、就任会見も話題騒然になりました。今回は注目されている新庄の「言葉」について、武田砂鉄さんが考察します。

「会話をしたことが名言になっちゃう」

北海道日本ハムファイターズの新監督に就任した新庄剛志の会見を、最初から最後まで見直してみると、メディアの報じ方に共通していた「異例の」や「ぶっ飛んだ」という方面より、「懇切丁寧」なんて表現のほうが似合うことがわかる。継続的にウケを狙う、唖然とさせ続ける、というのは、ただただイレギュラーな振る舞いを繰り返すだけで成し遂げられるものではない。記者からの質問を丁寧に受け止めて、その都度、オリジナルな言葉を吐き出していった。

こんなやりとりがあった。記者が「現役時代の日ハム入団会見で『これからはメジャーでもない、セでもない、パ・リーグです』の名言があった。この名言の続きは?」と聞くと、新庄は「これからは、セ・リーグでもパ・リーグでもない、新庄剛志です。それしか浮かばない。僕ね、普通に会話をしたことが名言になっちゃうんで、名言を言おうとして言っていない。これからどんどん出てくると思います。期待しておいてください」と答えている。確かに、瞬発力で返した言葉が、印象的に受け取られる確率が異様に高い。「名言になっちゃう」という自己認識は、結果としても嘘ではない。

会見で「そうですね」を使わない

新庄が昨年刊行した『もう一度、プロ野球選手になる。』には、彼が、自分の伝える言葉に極めて意識的であることが伝わるコラムがある。今回、テレビが新庄のキャリアを振り返るにあたり、球場の天井から降り立つ映像や、被り物で驚かせる映像など、パフォーマンスの部分に再注目していたが、新庄は「ぼくが力を入れたのはパフォーマンスだけじゃない」と語っている。たとえば、試合直後のヒーローインタビューでは「そうですね」を使わないと決めていた。「チャンスで打席がまわってきたときの気持ちは?」と聞かれると、多くの選手が「そうですね……やるしかないと思いました」と答えてしまう。これでは記憶に残らない。

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365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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コメント

nktu_pdu >お立ち台で印象的なセリフを言えば、お客さんがまた球場に来てくれるかもしれない。だからこそ、事前に頭の中で準備して、「そうですね」で時間かせぎをするようなことにはならないよう、心がけた かっこいい。 23日前 replyretweetfavorite

takikeisuke “試合直後のヒーローインタビューでは「そうですね」を使わないと決めていた。” 単刀直入で、強い言葉。それで随分印象が変わるよな。 23日前 replyretweetfavorite

daaaaaaaa8 どことなくティっぽいな 23日前 replyretweetfavorite

ararenchi そうですね、と言わないようにした。 なるほど。 23日前 replyretweetfavorite