わかる日本書紀

父を喪った百済の王子たちの動向【第29代⑭】

ややこしい日本書紀をわかりやすく紹介した書籍『わかる日本書紀』シリーズ第4巻から、日本の正史を学ぶ連載。今回は第29代、欽明天皇の御代のお話(提供元:西日本出版社)。

聖明王(せいめいおう)の死と威徳王(いとくおう)の即位②

★前回のお話→「名君・百済の聖明王、なんと最期は下僕に…【第29代⑬】

欽明十六年二月、百済の王子ヨショウは、弟の王子ケイ(恵)※1を日本に派遣して、
「聖明王が新羅軍に殺されました」
と天皇に報告しました。
天皇はそれを聞いて悲しみ、筑紫に滞在している王子ケイのもとへ使者を遣わし、難波の津※2に迎えて慰問させました。
そのとき、朝廷から出向いたコセ(許勢)臣が王子ケイに、
「あなたは日本に留まりたいか、または本国に帰りたいか」
と聞きました。王子ケイは、
「私は日本の天皇の徳によって、亡き父王の遺恨を晴らしたいと思います。
もし私を哀れんで武器をたくさん与えてくだされば、恥を雪(そそ)ぎ新羅に報復したい。それが私の願いです。
私が日本に留まるか百済に帰るかは、ただただ天皇のご命令に従います」
と答えました。

蘇我イナメ大臣は、王子ケイに尋ねました。
「今は亡き百済の聖明王は、天地の道理に通じ広く名を知られていた。
政局を安定させ百済を統率して、千年万年も日本の天皇にお仕えすると思っていたのに、突然昇天してゆく水が帰らないように墓に眠ろうとは思いもよらなかった。
何とつらく悲しいことだろう。心ある者は、誰でも哀悼(あいとう)するだろう。
何の過ちでこんな禍(わざわ)いを招いたのか。今後どんな策を立てて、百済を乱れないように治めるつもりか」
「愚かな私は、国家の大計はもとより、吉凶の原因も国家の存亡もわかりません」
と王子ケイが答えると、

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

日本のはじまりを知る。

この連載について

初回を読む
わかる日本書紀

村田右富実 /つだゆみ /村上ナッツ

『日本書紀』は神代から第41代持統天皇の時代までを扱った日本最古の歴史書です。しかし本文は漢文、全30巻と長く読解は難しいため、正史ながら読んだことのある人はほぼいません。そこで、劇作家が書くわかりやすい文章と、親しみやすいキャラクタ...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません