私ほど、物事を嘆いたり、心を砕いている人はいるまい」北条政子

歴史に名を残す人物たちも、実は「愚痴」をこぼしながら生きていた! 渋沢栄一から夏目漱石、豊臣秀吉にナイチンゲールまで、人生の苦境で言わずにおれなかった愚痴150篇。女性への未練、お金の無心や仕事の焦り、家族への恨みなど現代人と変わらない不平不満です。読めばなぜか勇気がわいてくる、愚痴ノンフィクション! 10月21日発売の新著『人間愚痴大全』より特別公開します。(提供元:小学館集英社プロダクション)

60代、不遇・人生にまつわる愚痴

北条政子(将軍の妻)

1157年-1225年。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝の妻。初代執権北条時政の娘。伊豆国に流され不幸な境遇にあった頼朝と出会い、結婚。以後、夫や子どもたちを助け、政治家として鎌倉幕府を支えた。「尼将軍」との異名もとる。

夫や子、孫にも先立たれた女性の心の内

北条政子といえば、鎌倉幕府を開いた源頼朝の妻で、頼朝の死後は実子である二代将軍頼家、三代将軍実朝らを後見し、幕政にも大きな影響力を残した人物である。夫の死後、出家したことから「尼将軍」とも呼ばれている。

政治家としても大きな力を持った彼女が、ある時、

我程、物を歎き、心を砕くものあらじ

(私ほど、物事を嘆いたり、心を砕いたりしている人はいるまい)

と、いったという。権力の頂点に近い位置にいた人物が「物事を嘆いたり」するのだろうか、とも思うのだが、実はこの言葉、まんざら嘘というわけでもないようだ。

この言葉の少し後には

「大姫御前をば(中略)世を早くせしかば、同じ道にと慕いしか共、故殿とのに諫められ奉りて

(娘の大姫を[中略]早世させてしまい、自分も死のうと思ったのだが、故頼朝殿に諫められて……)

とある。確かに、彼女は長女の大姫を早くに亡くしている。この長女大姫は、生前、父・頼朝の軍勢によって夫を殺された心労から、うつ病にもなっていた。

しかも、政子は、天皇のもとに入内させようとした次女も、わずか13歳の時に亡くしている。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

なぜか、勇気が出てくる。不平不満の150篇。

人間愚痴大全

福田 智弘
小学館集英社プロダクション
2021-10-21

この連載について

初回を読む
なぜか勇気が出てくる 人間愚痴大全

福田智弘

「今日も飯はうまくない」「アルコールでごまかすより外なかった」 天才と呼ばれる作家に芸術家、世界を変えた政治家に勇猛な武将まで、歴史に名を残す人物たちも、実は「愚痴」をこぼしながら生きていた! 渋沢栄一から夏目漱石、豊臣秀吉に...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません