わかる日本書紀

百済王、再三の援軍要請も日本は…?【第29代⑫】

ややこしい日本書紀をわかりやすく紹介した書籍『わかる日本書紀』シリーズ第4巻から、日本の正史を学ぶ連載。今回は第29代、欽明天皇の御代のお話(提供元:西日本出版社)。

仏教公伝③

十月二十一日、百済の王子(せしむ)ヨショウ(余昌)※1は自ら国中の軍を率いて高句麗に進軍し、百合野塞(ゆりののそこ)※2という砦(とりで)を築き、兵士と寝食を共にしました。

王子ヨショウは夕方、砦から遥かに周囲を見渡しました。
よく肥えて土の柔らかく盛り上がった野原がどこまでも広がり、人影はまばらで犬の声も聞こえないほど静まりかえっていました。

そのとき突然、鼓と笛の音が聞こえました。
王子ヨショウはたいそう驚いて、こちらの砦でも鼓を打ち夜通し固く守備しました。
未明に起きて平原を見ると、一面に青山のように連なった高句麗の軍旗に覆われていました。
夜明けに、高句麗の陣営から頚鎧(けいがい)※3を着た者一騎、(ぎょう)※4を挿した者二騎、豹尾(ひょうび)※5を飾った者二騎、併せて五騎が、轡(くつわ)を並べて百済軍の砦にやって来て尋ねました。
「高句麗の子供たちが、『私たちの野原の中にお客さんがいるよ』と言うので、失礼のないようにお迎えしなければなりますまい。高句麗の我らと、礼をもって問答できる者がいれば、その姓名、年齢、位を今すぐ知りたいものだ」

王子ヨショウは、自らすぐに名乗りました。
「姓は高句麗王と同じ姓。位は杅率(かんそち)※6。年は二十九だ」

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村田右富実 /つだゆみ /村上ナッツ

『日本書紀』は神代から第41代持統天皇の時代までを扱った日本最古の歴史書です。しかし本文は漢文、全30巻と長く読解は難しいため、正史ながら読んだことのある人はほぼいません。そこで、劇作家が書くわかりやすい文章と、親しみやすいキャラクタ...もっと読む

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