同棲、してみたいけど迷う……という方はこの本を開いて。

この連載では、文芸オタクの三宅香帆さんがシチュエーションに合った本を独断と偏見をもって「処方」していきます。第九回は、同棲するか迷っている方に送る一冊を紹介します。江國香織さんの結婚生活を覗き見できるのが、『いくつもの週末』。好きな人と暮らすってどんな感じかがリアルすぎるくらいわかります。著書『副作用あります!? 人生おたすけ処方本』から特別収録。

09. 同棲するか悩んでいるときに読みたい本

いくつもの週末
江國香織(集英社文庫、二〇〇一年)

効く一言
少し距離のある関係の方が“comfortable”で素敵だ、というふうにしか考えられなかったのに、いいえ結婚をするのだ、わずらわしいことをひきうけるのだ、ともに現実に塗れて戦うのだ、と無謀にも思えてしまったあの不思議な歪(ひずみ)を、私はいまでも美しいものだったと思っている。美しくてばかげていて幸福ななにかだった、と。


ほんとうのところ、私たちは愛されることに怯えているのかもしれない。

……っていうのは、最近、友達の恋愛トークを聞いていても、流行りの恋愛漫画を読んでいても思うところである。

いや「男の子にモテるための服装!」とか「これで女の子がバンバン寄ってくる!」みたいな見出しはネットにも街の広告にも溢れてるやんけ、とツッコまれそうだけど。

でもそれって愛されたいわけじゃないと思うわけです。モテる、と愛される、はちょっとちがってて、モテるっていうのは相手の心を一時的にもらうってことで、愛されるっていうのは相手の心をぜんぶ継続的にもらうってことだ。時間軸も重さも全然ちがう。

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副作用あります!? 人生おたすけ処方本

三宅香帆

「○○なとき」→こんな本を処方、という形式で書評していきます。 《効用一覧》 ディケンズ『荒涼館』→「まっとうに生きよう…」と仕事へのやる気が起きます。 司馬遼太郎『坂の上の雲』→おじさんおばさんであることを受け入れられます。 ...もっと読む

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コメント

koko_asoko 参考https://t.co/sNMegsRRUJ 約1ヶ月前 replyretweetfavorite

tatsunyan1230 これめちゃくちゃ名文では…?「愛」の一側面だけどすごく本質的なところ。 約1ヶ月前 replyretweetfavorite

gtk07503 江國香織のこの感じを共有できたりできなかったり 約1ヶ月前 replyretweetfavorite