​「君には期待しているよ」という搾取

安易に使ってしまいがちな「期待している」という言葉。でも、必ずしもみんな期待されたい人ばかりではありません。またこの言葉はある問題をはらんでいると、林伸次さんは言います。今回は「期待している」問題を考えます。

期待されるのが苦手な人

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

先日、僕のnoteでこんな質問を受けました。以前勤めていた会社の社長が「君には期待しているんだ!」と言いながら、責任が重くてキツい仕事ばかり押し付けてきたのに、給料は上がらなかったんだそうです。「期待している」という言葉を自分の都合のいいように使っている人が多いように思うのだけど、林さんは期待されるのは好きですか?とのことでした。

僕、中学生の時に本気でバスケットボールをやっていたんです。最後の大会で県大会のベスト8まで行ったのですが、その試合の時に、すごく期待をかけられたんですね。後輩や女子バスケ部、親や友達と、色んな人たちが来て、「わー!!」ってなったんですけど、そういう時、僕ダメなんです。がんばりがきかないんです。そういう試合で負けそうになると、すぐあきらめちゃうんですよね。まあいいや、ってなるんです。

そういうときに火事場のバカ力みたいなものが出てきて、ちゃんと結果が出せる人っていますよね。天覧試合でホームランを打った長嶋茂雄とか、WBCの決勝で決勝打を打ったイチローとか。あれってもう、「メンタルが違う」としか言いようがない気がします。

僕は期待されるのが本当にダメです。例えば自分がイベントに出るときも、積極的に集客を呼びかけるのって苦手なんですね。「僕になんて、会おうと思えばお店に行けば会える。他の著者さんはその日その場所でしか見られない」って、いつも考えるのですが、やっぱり自分に華が足りないと思っているのが本当の原因だと思います。

だから、「林さんなら50人は集まりますよね」みたいなことを言われると、「ダメです。ダメです。絶対に無理です。期待だけはしないでください」って大騒ぎしてしまいます。他にも「林さんが記事を書いてくれたら3万PVくらいは軽く行きますよね」って言われることもあるのですが、「ダメです。ダメです。絶対に無理です。期待だけはしないでください」って大騒ぎします。期待されるのって本当に嫌です。

どうして期待されるのが嫌なのかを自分なりに考えてみたんですが、やっぱり、普段からちょっと見栄を張っているからだと思うんですね。無意識に「俺、結構実力あるからね。すごいんだから」という風に見せてしまっているんです。だから、その実力がバレるのが怖いんだと思います。「なんだ林、大したことないじゃん」って思われたくないのでしょう。

椅子5個作ったら椅子5個分の対価
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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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コメント

restart20141201 「君には期待しているよ」という搾取|林伸次 @bar_bossa |ワイングラスのむこう側 https://t.co/MB2LAaYezs 17日前 replyretweetfavorite

rena712 同僚に読み聞かせてあげたい。自分の労働力を軽んじないでほしいし、若いのに諦めちゃってる感じが悲しい。。​ 「君には期待しているよ」という搾取|林伸次 @bar_bossa | 17日前 replyretweetfavorite

bar_bossa 期待されるの、好きですか? 僕、どうも苦手なんです。 18日前 replyretweetfavorite