独習 教養をみがく#9】「自給率」が問われる時代へ

この連載では、週刊東洋経済に掲載された記事からcakes読者にお読みいただきたいテーマをピックアップしてお届けします。(提供元:東洋経済新報社)

※この記事の情報は、『週刊東洋経済』2020年8月3日発売当時のものです。

【社会】新自由主義が終焉
「自給率」が問われる時代へ

思想家・内田 樹

 国際情勢は、新型コロナウイルスの蔓延によってどう変わっていくのか。予測できるのは米国の凋落と中国の相対的な浮上である。

 米『フォーリン・アフェアーズ』誌20年7月号で政治学者のフランシス・フクヤマがトランプ米大統領を「近代史上、最も無能な大統領」と形容していた。大統領の任期は21年1月まである。

 秋の選挙で負けても、トランプ大統領は感染抑制よりも経済活動再開を優先する政策を転換しないだろう。ということは、米国は感染が抑制できないまま年を越すということである。

 米国は今「鎖国」状態にある。米国に入ることができない、出ることができないのである。その影響を的確に予測している人は今のところいない。

 例えば、軍略が変わる。20年6月に米空母セオドア・ルーズベルト号で感染者が続出して、作戦行動ができなくなった。狭い空間に大量の兵士を押し込める艦船は感染症に弱い。原子力潜水艦はさらに弱い。

 つまり、空母と原潜が「いつ使いものにならなくなるかわからない」という条件下で米軍はこれから作戦行動を取ることを強いられるのである。通常兵器による戦争だと空母と原潜を自由に使える側が圧倒的に有利だが、米軍はそのアドバンテージを失う。

 それもあって、外交専門家たちは米国に限らずどの国も当面は大規模な軍事作戦を始めることができないと予測している。

未来像を示せない国
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