欽明天皇、百済に任那復建を促す①
欽明四年十一月八日、天皇はツモリ(津守)連(のむらじ)※1を百済に遣わして聖明王にこう伝えさせました。
「任那の下韓(あるしから)にいる百済の郡令(こおりのつかさ)、城主(きのつかさ)※2を日本府の所属に変更せよ。
百済が任那再建を主張してはや十余年経つが、全く成果がない。任那は百済の柱であり早々に再建すべきだ。任那再建が成功すれば、言うまでもなくカウチ直(のあたい)は任那から手を引く」
この日、聖明王は天皇の言葉を受け、三人の佐平(さへい)※3らに対策を尋ねました。
佐平たちは答えました。
「とんでもありません。下韓にいる我が国の郡令と城主は、日本府付けにせずそのまま置いておくべきです。
ただ、任那再建は天皇のお言葉を受けて進めましょう」
十二月、百済の聖明王は、他の臣下たちにも天皇の言葉を公表し対応を尋ねました。臣下たちは全員で協議し、回答しました。
「任那を再建せよという天皇のお言葉は、速やかに受け入れ進めるべきです。今すぐ任那に派遣している百済の役人と任那諸国の王たちを召集し共に話し合い、天皇への上表文(じょうひょうぶん)を作って我々の意見を伝えましょう。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。