人の話を「ちゃんと聞く」ことは、誰かの力になる。

「雑談」を仕事にしているサクちゃん。「誰かの力になれたらいいな」という考えから始まった仕事ですが、動機がそれだけだと、少し危険なんだとか。サクちゃんが誰かのために何かする時、自覚すること、明確にすることって何なのでしょうか? 雑談って聞くと、なんだか簡単そうですが、人の話をちゃんと聞くって実はなかなかできないことなんだそうで……。(毎週火曜日更新)

蘭ちゃんへ

こんにちは!

毎日暑くて、日中は外に出られません。感染もかなり拡大していて、楽しみな予定をひとつもたてられません。はやく夏が通りすぎないかなと、ただ時間が経つのを待っています。

去年の春から今年のことって、後から思い出そうとしてもおそらくほとんど記憶がないだろうなと、今から感じています。なぜなら、思い出が作れないからです。いやすぎるー。

*ー*ー*

「自分の思うことを信じないで、他人の言うことを信じる」がいいのではないかと、前回の日記で蘭ちゃんは書いていました。

「この人がそう言ってくれるなら、信じよう」と思えるかどうか。それは、「他人を信用する」ということだね。

わたしが他人を信用して、他人の力を感じるのは「この人に恥ずかしくないようにいよう」と背筋を伸ばすときです。「この人にどう思われるかを気にする」と顔色を伺って出すものを変えるのとはちがい、自分がしっかり出せるように他人の力を借りているという感じです。

この「他人の力を借りる」が、今足りていないのではないかと思います。

リモートワークで家にこもっているし、飲み会やごはん会がなくておしゃべりから力をもらうこともない。ひとりで頑張ってなんとかして、わたしたちはほんとうによくやっていると思いつつ、もっと他人の力を借りたほうがいいと考えます。

*ー*ー*

わたしは今、「雑談」を仕事にしています。この仕事をはじめるとき、わたしは「これをやりたい!」と思えることがないので「自分のできることを使って誰かの力になれたらいいな」と考えました。

でも、「誰かのためになりたい」という考えは少しキケンで、「誰かのためは、自分のため」だとちゃんと自覚しないといけません。「誰かのため」にやっていると、自分がなぜやるのかわからなくなったり、「誰かのせい」にひっくり返ったりすることがあるからです。だから、自分のどの力を信用してほしいのかを明確にしようと思いました。

考えた結果、「目の前のこの人は絶対に関心をもって話を聞いてくれる」という信用にお金をもらおうと決めました。

ミヒャエル・エンデの『モモ』に、こんな一節があります。

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サクちゃん蘭ちゃんのそもそも交換日記

土門蘭 /桜林直子

東京でクッキー屋さんをしている「桜林直子(サクちゃん)」と、京都で小説家として文章を書く「土門蘭(蘭ちゃん)」は、生活も仕事も違うふたりの女性。この連載は、そんなふたりの交換日記です。ふたりが気が合うのは、彼女たちに世界の「そもそも」...もっと読む

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1117syuru 何度も読み返して、ずっと覚えておきたい https://t.co/EZ3OOzZ17D 約1ヶ月前 replyretweetfavorite