古谷やすし役・内藤玲氏【前編】人のよさがつい出てしまう感じ、それが自分の芝居で出せたら最高

「アニメ「宇宙兄弟」で古谷やすしこと「やっさん」役の内藤玲氏さん。 多くの人間模様が濃厚に描かれていく「宇宙兄弟」の中で、ひと際個性を放つやっさんを声で演じるのは、難しいけど、同時にすごく楽しいという。このやっさんの役に、入り込めるようになった理由やきっかけについてお話を伺った。 どうぞよろしくお願いします。

—『宇宙兄弟』キャラクターの中でも、インパクトの強さはトップクラス。〝やっさん〟こと古谷の声、どう構築していったのでしょうか。

 関西弁でまくし立てる、かなり個性的なキャラクターですからね。これは大変 な役だなとは思いました(笑)。まず、関西弁については、僕も大阪生まれなのでなんとかなりました。ひと口に関西弁といっても地域によってずいぶん違うものなんですが、幸いやっさんの言葉は、僕がふだん使うのと近かったので助かりました。声優の仕事って、台本をもらった後で、自分のセリフの細かい言い回しを発声しやすいよう修整するということがあるんです。 方言を扱うときなんかは特に 。でも今回は、台本のままでいけました。流れるように言えるセリフばかりでしたね。

 言葉の面はよかったんですが、やっさんの性格のほうは、ずいぶん自分と違うので捉えづらかったです。あそこまでテンションが高くはないし、鋭い突っ込みを連発するタイプでもないので。そのあたりをつかむのは難しかったですね。やっさんが初登場するシーンを収録するときには、音響監督さんから「キーを上げて、サルっぽくお願いします。」とディレクションされました。それでやっさんの声の雰囲気が、自分の中でうまくイメージできました。そこからぐっと役に入っていけましたね。演じていて、他の役とのテンションの違いに気づいて、「ひとりだけこんな盛り上がった感じでいいのかな?」と心配になったりすることもありました。でも、それがやっさんという人間の持ち味なんだと信じてやっています。

—声自体は、キーを上げて、かなり作り込んでいるのですね。

 地声そのままではないですね。ただ、それほど地声とかけ離れているわけでもないです。少し高い音を出しているというくらいで。ぼくはこれまで、かなり作り込んだ声の役を演じることが多かったんですよ。もともとの声に特徴がないので、変わった声をそのつど作っていかないと仕事にならないと思っていました。地声でなかなか勝負できないのがコンプレックスでもありました。やっさん役のオーディションを受けたときも、この役は地声に近いイメージだったので、 自分はちょっと通らないかなとあきらめ気味でした。ところが思いがけず役を頂けたので本当に嬉しかったです。 「そのままの声で演じていいんだよ」と言ってもらえたようで。

 作品のなかでは、伸縮機能付きの宇宙服が開発されて、宇宙飛行士の身長制限の下限が下がるエピソードが出てきますよね。それによって、やっさんは資格を満たすようになり、選抜試験を受けることができた。開発された宇宙服ができたことによって、やっさんは自分が「許された」と感じる。このシーン、僕にもぐっとくるんですよ。地声で演じることを許されたときの気持ちと、やっさんの気持ちをつい重ね合わせたくなるんです。

—やっさんが登場する主たるシーンは、閉鎖環境での宇宙飛行士選抜試験。限られた空間に閉じ込められたメンバーは、協力し合ったりぶつかり合ったり。人間関係と感情が絡んで、アニメのストーリーには珍しく心理劇の様相を呈します。そうした場面を声で演じるのは相当に難しいことなのでは?

 難しいですけど、同時にすごく楽しいんですよ。これほどやりがいのある役と話は、なかなかないですから。 閉鎖環境のシーンに限らず、『宇宙兄弟』は人間模様が濃厚に描かれていく話ですよね。テレビのオンエア を観ていると、毎回感動するポイントがあって、僕自身よく泣きそうになっています。人間模様を描けるというのは、それぞれのキャラクターが抱えているバックグラウンドまで丁寧に描写してあるからだと思いますし、一人ひとりのことがよく考えられ、掘り下げられているなと思います。演じる側としては、バックグラウンドを把握していくことがたいへんではあるけど、その分、愛情がわいて、役に入り込めるので演じるのがどんどん楽しくなっていきます。 刺激がたっぷりあって、自分の声優としてのキャリアを考えても、大きな成長と転機になる仕事だなと感じています。そういう作品に関われたということがとても嬉しいです。

—やっさんの内面には深く潜り込めましたか。演じることでつかんだ彼の本質はどんなものでしょう。

良くも悪くも、とことん正直者なところが彼のいちばんの魅力なんでしょうね。口はめっぽう悪いけれど、自分に嘘をついたりすることはしないし、福田さんのメガネを壊してしまっても、責任を取って替えのメガネをJAXAにきちんと要求したりする。根がまっすぐないいヤツですよ。

六太にはいちいち突っかかりますけど・・・(笑)。 そのうち、このふたりってずいぶん仲がよさそうだなという気もしてきました。 人に厳しいツッコミをするのも、あれはまあ見た通り思った通りを言っているだけで、相手を攻撃する意図はもちろんありませんし。身長が低いことへのコンプレックスがあっても、それを克服するために努力し続ける姿勢なんかもいいですよね。気張っていても人のよさがつい出てしまう感じ、それが自分の芝居でうまく出せたら最高ですけどね。

—やっさんは周囲との軽妙なやり取りによって、どんなシーンにも動きと華やかさを与えてくれますね。

 そうですね、彼の得意なのはやり取りであって、その中から関係を結ぶことなんですよね。声を演じるにあたっては、スタッフさんや六太役の平田広明さんをはじめ皆さん懐の深い方ばかりなので、やっさんを受け止めて頂いて、安心して、やっさんを自由にふるまうことができているんです。

(後編へ続く)

取材・文/山内宏泰

 

内藤玲(ないとう・りょう)

俳優、声優。大阪府出身。主な出演作に『おじゃる丸』カタピー役、『デスノート』松田桃太役、『テニスの王子様』金色小春役などがある。
個人ブログ→http://blog.livedoor.jp/ryo0622ryo/

 

 

 

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