出汁は気軽にとろう! かつお節よりうま味の強い、一押しの出汁素材

出汁を引くというと構えてしまう人もいるかもしれませんが、出汁のとり方に決まりはなく、難しいものでもありません。気軽にできて料理をおいしくする出汁素材。料理家の樋口直哉さんに、ご自身も愛用するオススメの「けずり節」をご紹介いただきました。

今週のテーマは『けずり節』。節とは魚の頭や内臓などを除去し、煮熟(茹でて)してから冷却、くん乾(くん製+乾燥)したもので、けずり節はそれを削ったものです。サバやアジ、イワシなど様々な魚の節がありますが、最もポピュラーな「かつお削り節」は誰もが知っている食材でしょう。

けずり節は主に出汁をとるための食材で、そのまま食べたり、落し蓋にしたりといろいろな使い方がありますが、正直「家の台所にはない」という方も多いでしょう。顆粒だしやだしパックの普及にやや押され気味で、スーパーでは棚の一番下に並べられていることが多いのが現状。しかし、削り節には顆粒だしやだしパックにはない利点があるので、今回はその点について掘り下げます。


家庭では「うす削り」の製品を選ぼう

けずり節といっても様々。例えば冷奴やおひたしに添えて、そのまま食べるには細かくしたけずり節を少量ずつ袋に詰めた『かつおパック』という製品が便利です。『かつおパック』でも出汁は引けますが、量が少なく、割高。

出汁をとる用途に向いているのは「うす削り」や「厚削り」の製品。うす削りは節を0.2mm以下にしたもので、表面積が大きく、液体に入れれば短時間で味が出ます。加熱時間が少なくて済むので、雑味(=主に酸味)が少ない出汁がとれます。花かつおという俗称がついている製品もあります。

『厚削り』は節を0.2mm以上の厚さに削ったもの。長く煮込むと濃厚な出汁がとれます。加熱時間が長いので酸味などは強くなりますが、節の香り成分が揮発するので、そばつゆやおでんに使うと深い味わいになります。

家庭で選ぶのであればインスタント的な感覚で汎用的に使える「うす削り」の製品です。厚削りは煮出した後、食べると硬いですが、うす削りであれば炒め物の仕上げや野菜と一緒に煮て(直煮といいます)、そのまま食材としても食べられるので、出汁以外の場面で活躍するからです。

選ぶポイントは他にも。例えば魚の節で一般的なかつお節は製造工程によって2つの製品があります。

1.カツオを煮熟した後、焙乾(燻しながら水分を抜く作業)した「荒節」
2.荒節にカビをつけることでさらに水分を抜き、アミノ酸の分解を進めた「枯節」

関西圏で好まれる荒節はさっぱりとした出汁が引け、関東で好まれる枯節は香りが強く、うま味の余韻が長い出汁がとれます。見分けるポイントは裏の名称や原材料名。

「かつおけずりぶし」=荒節
「かつおかれぶし削り節」「かつおぶし削りぶし」=枯節

です。選ぶ前に知っておくと参考になるでしょう。ちなみに「花かつお」と商品名がついていれば、それは荒節を削ったものです。さらに細かくいうと血合い抜きという表示があれば、血合いの部分を削り取ってあるので、酸味が控えめの上品な出汁がとれます。ただ、割高になるので、あとはお財布との相談です。

かつお節以外にも節になる魚は様々。例えばサバ節は濃厚な風味で、うどんつゆに最適。ソウダカツオを使ったソウダ節は独特の味があり、そばつゆ用として人気があります。珍しいところではサメを使ったサメ節もあり、ラーメン屋さんが隠し味に使うようです。

こんな風に節は用途に応じて、使い分けるのが基本ですが、家に一つ買うのであればうどんつゆから味噌汁まで様々な料理に使える汎用性がほしいところ。そこで、今回、ぼくがおすすめするのはこちらの節です。

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樋口さん、どれがいちばんですか?

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コメント

granat_san コーヒーフィルターと粉カツオ+熱湯、これはいいな。 2ヶ月前 replyretweetfavorite

ymkkym まぐろ節って気になるので見かけたら買ってみます。 2ヶ月前 replyretweetfavorite