「最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候」
今週末から東京オリンピックが始まる。始まる、というよりも、始まってしまう、という形容が正確だろう。私たちの生活はオリンピックが終わっても続くが、たとえばIOCのバッハ会長など、あと数週間もすればこの日本を離れていく。そういう人たちがやりたいことを最優先にして、国が懸命に支えている。先日は、迎賓館でバッハ会長の歓迎会を開いた。ちょうど、東京をはじめとした日本各所が猛暑となった日だ。
2013年、東京招致を狙う組織委員会がIOCに提出していた「立候補ファイル」の一部を思い出そう。そこには、「この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である」とあった。どうだろう、少なくとも自分にとっては、「マンションの1階にあるポストに郵便物を取りにいくのさえ億劫な気候」「飛び乗った車両がたまたま『弱冷房車』だったので、自分の日頃の行いが悪いからだろうかと考え込んでしまった気候」だった。でも、泊まっているホテルを出て、すぐに車に乗って、迎賓館にたどり着く人たちにかぎっては、「最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候」なのかもしれない。
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