終わらない仕事を解決する『3倍ルール』

ここは、カフェ「しくじり」。都会の喧騒を離れ、一見さんお断りの限られた客のみ入店できる会員制のカフェ。
このカフェでの通貨は「しくじり」。客がマスターにしくじり経験談を披露し、その内容に応じてマスターは客に飲み物や食べ物を振る舞う。 マスターの小鳥遊(たかなし)は注意欠如・多動症(ADHD)の傾向を持ち、過去にたくさんのしくじりを重ねてきた。しかし“ある工夫”で乗り越えてきたという不思議な経歴の持ち主。そんな過去の自分と似た「会員」のため、今日もカフェのカウンターに立つ。 そんな奇妙なカフェのお話。

(初回はこちら)(記事一覧はこちら

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(カラン、コロン〜♪ カラン、コロン〜♪)

小鳥遊 「おや、りんださん。なんだかお疲れのようですね」

りんだ 「はい~…最近はなかなかヘビーな毎日を過ごしています…。ああ、疲れたー」

ふらっ!

小鳥遊 「りんださん! 大丈夫ですか。いきなり倒れかけるなんて…」

りんだ 「ええ、だ、大丈夫です。それより小鳥遊さん…体力のつくものを食べさせて頂けないでしょうか…」

小鳥遊 「おや、そうとう参っているようですね。ご馳走しますので、とりあえずこちらへ座ってお話でもしましょうか」

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りんだ 「私、頑張ってるんです」

小鳥遊 「そのようですね」

りんだ 「毎日すごく仕事をしているんです。褒めてください!」

小鳥遊 「偉いです」

りんだ 「ありがとうございます。今日は、社内の規程の整備をやっていたんです。地味ですが、会社にとっては大事な仕事で。『規定』と『規程』で言葉がバラバラになっていたり、『ただし』にするか『但し』にするか統一しなければいけなかったりするので、目を皿のようにして読まなきゃいけないんです」

小鳥遊 「私も経験あります。『または/又は』問題とか、数字の半角全角をどうするかとか…」

りんだ 「そう! そう! かなり神経使う面倒くさい作業なんですよね! 分かってくれる人がここにいるとは!」

小鳥遊 「りんださん、手広く仕事をしているんですね~」

りんだ 「ええ、頼まれると断れない性格でして…。しかも、いつもたくさん引き受けすぎてしまうんですよ。そのときはやれると思うんですけど、気が付いたら大量に抱えすぎてパンク寸前になってしまうんです」

小鳥遊 「分かります。周囲が喜んでくれるので、つい引き受けすぎてしまうんですよね」

りんだ 「そうなんですよ~!」

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小鳥遊 「りんださん、力が出るように、お肉たっぷりのつけ麺を作りました」

りんだ 「わ~! ありがとうございます!」

小鳥遊 「ちなみに、大盛もできますが、いかがですか? 普通盛だと麺200グラム、大盛はその3倍です。またお肉も倍増します」

りんだ 「う~ん……、(かなり多い…けど、今お腹空いているし、いける!)…小鳥遊さん、大盛で!」

小鳥遊 「承知しました!」

どーん!

りんだ 「(うぐっ。やっぱり多い…。でも、この山盛りは絶景!!)い、いただきます!」

小鳥遊 「フフフ、どうぞ」

勢いよく食べ始めるりんだ。しかし、次第にその勢いが落ちていく。

りんだ 「うっぷ。小鳥遊さん、このどんぶり、下から麺が湧いてくる仕組みになっていません?」

小鳥遊 「いいえ、ただのどんぶりですよ」

ついに、りんだの手の動きが止まる。

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カフェ「しくじり」へようこそ

小鳥遊 /りんだ

発達障害でありながら一般企業に勤める小鳥遊(たかなし)さんが、カフェのマスターに扮して仕事の悩みに答えるストーリー連載。「安心して仕事ができるようになる、安心して会社に行けるようになる」を目指す、世界でいちばん意識低い系のビジネス連載です!

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コメント

juni_ca_wa_ii 依頼する側の立場だと、こういうことを繰り返す人には仕事を任せられないので回避する。「断れない」じゃなくて自分… https://t.co/Rmy7yCPJFq 4ヶ月前 replyretweetfavorite

myamadakg 執筆時間もこれでいくか。 5ヶ月前 replyretweetfavorite