資産運用マニュアル#13】相続税と富裕層の飽くなき戦い

この連載では、週刊東洋経済に掲載された記事からcakes読者にお読みいただきたいテーマをピックアップしてお届けします。

※この記事の情報は、『週刊東洋経済』2020年3月2日発売当時のものです。

 2019年春、ある富裕層の男性一家が、羽田空港に降り立った。日本の土を踏むのは、実に4年ぶりのこと。一家そろってシンガポールに移住。その間、一度も日本には帰国していなかった。

 この男性が保有する資産規模は、100億円超。親から受け継いだ資産に加え、起業した会社を上場させ、一気に資産が膨らんだ〝超富裕層〟だ。一家はなぜ移住し、しばらく帰国しなかったのか。それはずばり、「相続税を払いたくない」と考えていたからだ。

 日本は、相続税が世界的に見ても高い。税率は10~55%で、相続した金額が高くなればなるほど高くなる。3億円以上相続した場合、半分以上を持っていかれる。

 そこで富裕層の間ではやったのが、いわゆる「資産フライト」だ。簡単に言えば、相続税がない、もしくは税率が低い国に資産を移転させ、相続税をゼロにする、もしくは軽減するというものだ。

 中でも、シンガポールは人気が高かった。相続税や贈与税がなく、所得税や法人税の最高税率も低いためだ。しかも同じアジアの中では都会で、日本人にもなじみやすい。富裕層仲間から話を聞いたこの男性は、迷うことなくシンガポールへの移住を決断したという。

海外居住要件を延長

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