有名な人は呼び捨てにする
いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。
「本屋で、自分の著書を買っている人を見かけたら、その本は売れている証拠」という、有名な話があります。僕、実は7冊も本を出しているのですが、残念ながらまだ、僕の本を手に持って本屋のレジに並んでいる人を見たことはありません。
一度、ある本屋で、僕の本を立ち読みしている人は見かけたことはあります。あれ、落ち着かないですね。「買うかな。買わないかな。面白いと思ってくれているかな。どうかな」って、ずっとその人の横顔をジロジロ眺めてしまうんです。まあ完全に、僕、変な人でした。
そういえば、先日、終電近くの夜の井の頭線で、僕の目の前に座った、30代後半くらいのお洒落な女性が、燃え殻さんのエッセイ本を読んでいて、「ああ、このシチュエーション、羨ましいなあ。僕も、電車に乗っていたらたまたま目の前の人が僕の本を読んでいる、を目標にしよう」と決めました。
他にも、「呼び捨てにされたら著名人の仲間入り」という基準があります。例えば、友人と会話するときに、「最近出た村上春樹さんの小説だけど」って言わないですよね。「村上春樹の」って呼び捨てです。それって著名人だからなんです。僕も、たまにインターネットで、「林伸次が書いてたけど、飲食店でオススメはって聞くのって〜」みたいな文章を見かけると、「よっしゃー!」と嬉しくなります。
「呼ばれ方」って面白いです。「どれだけ凝った長い名前にしても、有名なお店になってくると、4文字に略される」という説があります。例えば、「ロス・バルバドス」というお店の名前を「ロスバド」って呼んだり、「ロンパーチッチ」というお店の名前を「ロンパー」って呼んだりするようなことです。
それで、うちのお店の名前、さすがに「バーボサ」とは呼ばないだろうな、なんかそれ言いづらいしなと、開店当初に思っていたら、渋谷のクラブ系DJ関係者が、うちのお店のことを「ボサバー」って呼んでいることを知って、「あ、そうやってひっくり返して略すんだ。あるいは、ロックバーとかジャズバーとかって感じの事かな。とりあえず嬉しい」って思ったのを覚えています(昔の音楽業界、特にジャズ周辺の人って、固有名詞をひっくり返すのが好きです)。