まだまだ遊びたいと無秩序に遊びすぎた代償

結婚相手を探し迷走を続ける麻衣子。LINEの履歴から、一人の男性の存在を思い出しました。著者の体験を元に「港区女子」のその後を描いた小説です。

その彼とは25歳の頃に出会った。

合コン仲間の女子のひとりから誘われたBBQ(バーベキュー)。
博報堂、三菱商事、医師、弁護士、いろんな案件を持ち寄っては切磋琢磨してきた女友達。

居酒屋の枠を超えての活動はとても珍しく、知らない人ばかりいる大勢のバーベキューはちょっと気が引けるが、断る理由はなかった。良質な出会いはいつどこに転がっているか分からない。
いつもは「居酒屋でいかに映えるか」を意識したお洋服しか持っていなかったので、BBQは守備範囲外。何を着ていったらいいのかまったく分からなかった。アウトドアは汚れると痛いから白はダメ。シフォン素材のスカートは風でめくれ上がってしまったらだらしないからダメ。小さな虫が寄ってきてひっついてしまうようなイエローなどのビタミンカラーはダメ。二子玉川ってことは土か砂利だろう、ということはハイヒールはダメ。考えに考え抜いた結果、グリーンの半袖ジャガードワンピースに4cmチャンキーヒールのフリル付きサンダル、川沿いで水に濡れるかもしれないから、PVCの透明ビニールバッグ。初めてにしては、我ながら完璧だ。

お相手はドメスティックの有名なコンサルティング会社の方々。到着すると、ワイワイというより実にアットホームな雰囲気でゆるく始まっていた。聞くところによると、幹事同士は高校の同級生らしい。誰もギラギラ勝負しに来ていないのもなるほどとうなずける和やかムードだ。
「荷物はこの辺りに置いて」「そっちのみんなは水際で何してるの?」「こうみえてコイツは大学を飛び級して3年で卒業して院行ってるんだよ」
男性幹事の段取力と、何よりパス回しが上手で、快適に、そして全員が全員と満遍なく会話することができた。

ありがたいことに、その中のひとりが私を気に入ってくれたようで、その後グループ交際に発展した。みんなで劇団四季のミュージカルを見に行ったり、仕事後に神宮球場へ野球のナイターを観に行ったり。その日に結果を出す合コンとは違い、誰かが誰かにガツガツ行くような素振りがまったくなく、でもどこかちゃんとした振る舞いをしなければいけないという緊張感もありつつ、上品で程よくリラックスして過ごせた不思議な時間で、合コンしかしていなかった私にとってはとても新鮮な時間だった。

何度となく私とその彼をくっつけようと周りがアシストしてくるのを感じたが、彼氏にするのには「刺激」が足りなかった。だからうまくかわしてみんなで遊ぶの楽しいねという雰囲気を作っていた。その彼もガツガツするタイプではなかったので、しびれを切らした女友達が〇〇くんが麻衣子ちゃんを好きらしいんだけど麻衣子ちゃんは興味ある?とこっそり聞いてきて、あまりかな~とやんわり答えると、それ以降グループ交際は自然となくなっていった。

そして10月がやってきた。ファッション業界に勤める私にとって、ハロウィンは他のどのイベントよりも楽しみにしている年に一度のファッションの祭典。ある日、あの時の男性幹事とハロウィンパーティをしようということになった。

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バラの命は短くて

一色トワ

麻衣子、30歳。20代の頃は商社マンやIT社長たちから口説かれ、合コンやパーティー三昧の日々を送っていたのに、30歳となった今、気が付けばもう誰からも飲みに誘われなくなっていた。キャリアがあるわけでも、なにかやりたいことがあるわけでも...もっと読む

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コメント

nekonosara28 一色トワさんの恋愛小説4話めがcakesで公開されました❤️ (イラスト描かせていただいてます) 約1ヶ月前 replyretweetfavorite

pokiiio すごいいい言葉。 「選択肢が多すぎて選べない、ということは幸せなことだけど、選択肢が一つしかないってことの方が、もっと幸せなことなのかもしれない。」 約1ヶ月前 replyretweetfavorite