20代の頃、たまに気が向けば会ってみる身体の関係のある男友達が何人かいた。そのときはお付き合いに至らなかったけれど、旅行に一緒に行ったりする仲の人もいた。婚活パーティーが手詰まりになったとき、そんな男友達に連絡をとってみることにした。セフレ以上の関係に発展するかもしれないと期待して。
でも、そんなもの上手くいくはずもなかった。
商社に勤めている30代後半の元ラガーマンとは、食事のあと彼の自宅へ行った。いい雰囲気になったのに、彼がトイレに行ったままなかなか戻ってこない。不思議に思ってそっとトイレの近くまで行ってみると、電話で他の女を口説いていた。「美容室水曜休みでしょ? 水曜会おうよ」などと言っているのを聞いて我に返った。セフレがトイレで美容師の女を口説いているところに遭遇するなんて、ツイてなさすぎるがこんな男だと改めて分かって良かった。
不動産会社に勤めている男は、当時と変わらずいつでもどこに飲みに行っても羽振りよく支払ってくれ、男気があり一緒に飲んでいて楽しかった。会う回数も増え、このままお付き合いに発展できるかもしれないと期待していたある日、気になってGoogleの検索バーにフルネームを入れてみると、彼のフェイスブックアカウントが引っかかった。興味津々で開いてみると、なんと子どもが2人もいた。妻子持ち!?
思い返してみれば、ホテルに泊まっても必ず早朝には帰るところや、土日もほぼ仕事していると言ってきたこと、土日の返信が超短文であることなど、怪しむべきポイントはあったはずだ。相手に夢中になると疑わないところは、私の悪い癖である。
六本木でレストランを経営している歳の近い男は、当時、彼の仕事後である夜11時半に彼の店に集合することがほとんどだった。数カ月ぶりに会ってみたら、彼女ができたと言ってきた。元モデルだそうだ。結構な頻度で会っていたし2人で箱根旅行にも行った仲だったので彼女ができたと聞くとなんだか悔しい。
こうなったら、最後にあのことを絶対に聞いてやろう。
朝までカラオケをした日シティホテルで朝食を食べながら、思いきって質問をした。
「私たちって、なんでお付き合いしましょう、にならなかったんですか…ね?」