豆腐はスーパーに行くといくつもの種類が並んでいます。よくわからないまま、なんとなく価格やブランドで選んでいる人がほとんどでしょう。豆腐は「馴染みはあるけれど、今ひとつわからない」食材の代表。その理由は、豆腐は〈定義〉がないからです。
例えばアイスクリームであれば乳脂肪分の割合に応じて「ラクトアイス」「アイスミルク」「アイスクリーム」という具合に基準がありますが、豆腐の場合はそうした定義がありません。そのため、パッケージから読み取れる情報が少ないのです。数年ほど前から業界として基準の策定に動き出していますが、決まるのはもうしばらく先のようです。
豆腐は昔、近所の豆腐屋さんで購入するものだったので、そもそも選ぶ必要すらなかったのかもしれません。しかし、今ではスーパーで買うのが一般的になり、製品の選択肢も増えました。そうしたなかで、豆腐を選ぶには基礎的な知識が必要です。今日は豆腐について復習してから、僕のオススメをご紹介します。
安い充填豆腐はまずい?
豆腐の分類は大まかに3種類。『木綿豆腐』『絹ごし豆腐』『充填豆腐』です。順番に説明してきましょう。
木綿豆腐はスタンダードな豆腐。作り方をざっくりと説明するとまず豆乳に凝固剤を加えます。モロモロとタンパク質が凝固してくるので、それを崩してから、布をしいた型に詰め、圧力をかけて水分を抜きます。最後に成形された豆腐を水にさらし、一丁ずつ切り分ければできあがり。表面に布目がつくところから木綿豆腐という名前がつきました。木綿豆腐はしっかりとした食べごたえと味が特徴です。豆腐ステーキや炒り豆腐をつくるのであればこの種類がオススメ。
絹ごし豆腐の作り方は木綿豆腐とは少し異なります。木綿豆腐に使うものよりも濃い豆乳に凝固剤を加え、型に流し込んでそのまま固めます。それを水にさらし、一丁ずつ切り分ければ出来上がり。つるっとした表面と滑らかな舌触りが特徴で、冷奴や湯豆腐などに向いています。製造工程で絹を使っているわけではなく、木綿豆腐に対して舌触りが絹のように滑らか、というところから名前がつきました。
最後の充填豆腐はあまり聞き慣れない名前かもしれません。こちらの豆腐は冷たい豆乳に凝固剤を加え、容器に流してから(充填)加熱し、そのまま冷却したもの。木綿豆腐や絹ごし豆腐のように塊からカットする工程がなく、水にさらすこともありません。製造工程としては小さな容器に流して固めるので、プリンやゼリー作りに少し似ています。 製造工程で加熱殺菌されているので、保存性に優れていることもあり、流通量が増えました。スーパーに行くとこの種類の豆腐も多く並んでいるはず。
絹ごし豆腐と木綿豆腐は製造工程上、機械化できない部分がありますが、充填豆腐は100%機械化でき、安価に製造できるのも利点。しかし、製法上、タンパク質が均一につながった構造になるので、加熱するとある程度で一気にやわらかくなり、煮崩れてしまう、という弱点があります。そのためサラダや冷奴など冷たい料理に多く使われます。黒蜜ときなこなどをかけてもおいしい豆腐です。
通常の豆腐と充填豆腐はパッケージにはっきりと書かれていないので、一見すると区別がつきにくいですが、見分けるポイントは2つ。一つはパッケージに水と一緒に入っているのが通常の豆腐で、水が入ってないのが充填豆腐です。
2つ目の見分け方は品名欄を確認する方法。充填豆腐の場合は充填と必ず記載があります。ネットで「安い充填豆腐はまずい」と書かれることがありますが、よく見てみると麻婆豆腐や味噌汁に入れてるケースがあります。さきほど述べた通り、充填豆腐は冷たい料理に向いている豆腐で、そもそもの使い方を間違っているわけなので、こうした意見はあまり参考になりません。
さて、解説が長くなりましたが、ここまで知っていただいたうえで僕がオススメする商品は
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