家事をやめる

掃除も洗濯も炊事も10分という「極楽」

掃除して洗濯して料理して皿洗って……生活に面倒な家事は付き物。のはずが、「ノー家事」生活を謳歌する人がいます。連載「買わない生活」が話題の稲垣えみ子さんです。あるきっかけから人生で初めて、面倒な家事を一切しなくとも清潔で快適、この上なく気持ちの良い暮らしを手に入れ、今や毎日が楽しくて仕方ないとか。圧倒的ローコスト、ローエネルギー、ローウェイストで幸福度が確実にアップする「ノー家事」生活の全貌とは。

我が家の掃除道具

さて前回、我が人生から家事が消えた! というまさかの事態について、それがいつどのようにして起きたのか、そのあらましを書かせて頂いた。

だが改めて考えてみると、自分自身もまさかこんなことになるとは想像もしていなかったわけで、急にそんなコト言われてもにわかに信じがたい、あるいはピンとこないと思った方が多いのではないかと想像する。

何しろ内閣府の調査によれば、現代の一世帯あたりの平均家事時間(育児を除く)は約3時間。家事が大好きで1分1秒でも長く関わっていたい人もいないわけじゃなかろうが、自分の経験に照らすと、おそらく多くの方は、時間も労力もなるべくかけたくないのにどうしてもそのくらいかかってしまうのではなかろうか。

それが急に「消えた」とか言われても、それでどうやって暮らしが成り立つのか? といぶかしく思われて当然だ。なので何はともあれ、まずは現在の我が「ノー家事生活」の具体的なスケジュールをご紹介しようと思う。

今や1日がやたらと楽しくて超早起き

午前5時 起床
いや、全く早起きですよネ我ながら。以前はこんなこと絶対になかった。朝はいつだって1分でも長く寝ていたかった。それが今や、1分でも早く起きたい。何しろ面倒な家事から解放されてからというもの、1日がやたらと楽しいんである。遊ぶことしか考えていなかった子供時代に戻ったかのよう。つまりはどうしたって早起きせずにはいられない気分なんであります。恐るべしノー家事生活。

まずは朝日を浴びつつ約1時間ゆっくり瞑想した後(セレブみたい!)、いよいよ問題の、あっという間に終わりすぎて今や娯楽と化した「新しい家事」の開始だ。

午前6時~  
洗濯(タライで前日の汚れ物を手洗いし、干す)=約10分  
掃除(ホウキで床をはくor雑巾で床を拭く)=約10分

以上である。ああすっきり! 
何しろこれで、本日の料理以外の家事はすでに綺麗さっぱり終わったのだ。で、まだ朝の6時20分ですよ!
この後の時間は何をしたって良いのである。いやー人生って自由だなあ……。

というわけで、その有り余る自由な時間をどう使おうかとニヤニヤしながら試行錯誤し、たどり着いたスケジュールが以下の通りである。つまりはこれが今の私の理想の1日であります。

午前6時半~ ヨガ
午前7時~  ピアノの練習
午前9時~  近所のカフェで仕事(原稿書きなど)
正午~    帰宅し、5~10分で調理して昼食。その後は昼寝などしてウダウダする。
午後2時~  別のカフェで仕事(原稿書きなど)
午後5時~  銭湯
午後6時~  帰宅し5~10分で調理。大好きな日本酒の燗もつけ、ゆっくり晩酌。
午後7時半~ ほろ酔いになったところで食器を洗って棚に戻し、パジャマに着替えて下着などをタライの石鹸水に漬ける。あとは、いつものNHK-FMでラジオドラマや大好きな南波志帆ちゃんのミュージックラインなど聴きながら縫い物、読書などして午後10時過ぎに就寝。

こうして今日も1日が平和に終わるというわけ。

自分の人生これで十分

どうでしょうかね? ま、こうして書いてみると、なんとも地味なことこの上ありませんな。バブル期に青春時代を過ごした人間としてはなかなか感慨深いものがある。何しろ自分としては掛け値なく、今のこの暮らしが人生で最高だと思っているのだ。
何が素晴らしいって、とにかく時間がたっぷりあること。
なんたって、普通の人が3時間かかる家事がせいぜい40分。それだけでも自由時間は飛躍的に増える。

でも肝心なのは、実はそこじゃないんである。

この40分は、ただの40分じゃない。すべてをやりきった40分、「自分の人生これで十分」と心から確認できる40分なのだ。
だって、日々きちんと片付いた部屋で、清潔で着心地の良いお気に入りの服を着て、美味しく健康的なものを食べることができたなら、他に何がいるというのだろう? 
それが1日たった40分で手に入るのだ。

つまりは私は1日40分で、「これでいいのだ」と心から思える暮らしを自分の手でちゃんと作り出すことができる。多くの人が幸せになるにはお金がなきゃどうにもなんないと当たり前のように信じているし、もちろん私もずっとそう信じていたんだが、実はお金も、ついでに時間も、全く不要だったんである。自分の幸せは自分の手ひとつでちゃんと作ることができるのだ。

いやはやこの不安定な世の中で、これ以上の安心ってものがあるだろうか?

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家事をやめる

稲垣えみ子

我が人生から、家事が、消えた。50年近くずっと格闘してきた家事が、気づけば、消えていた。 それなのに、家の中は整っていて、気分は晴れやか。しかも圧倒的ローコスト、ローエネルギー、ローウェイストという夢のような事態。そんなノー家事生...もっと読む

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コメント

DI5K455ETTE 多くの人が幸せになるにはお金がなきゃどうにもなんないと当たり前のように信じている 2ヶ月前 replyretweetfavorite

rakuencharmy #スマートニュース 2ヶ月前 replyretweetfavorite

booksmagazine 稲垣えみ子さんの家事論、更新しました。 #稲垣えみ子 #家事 #家事をやめる 2ヶ月前 replyretweetfavorite