行動と信用の掛け合わせで、資金は増やせる
お金の本質は「信用」だと、すでに述べた。国家が、社会において物を交換するための信用を保証した、手形でしかない。
お金をありがたがるのは、新興宗教の内輪だけで特別視されているお札を崇めるのと同じ。「お金教」の信仰に冒されているのだ。
一方で、信者にとってお札に信用があるというなら、文句は言えない。怪しげなお札に、平気で何百万円も払ったりするのも、御利益という信用の代価なのだ。
例えば、会社の社長が1000万円で、出所のよくわからない掛け軸の絵を買うと、社員からは「なんであんなものに1000万円も払うんだ?」「自分たちの給料を上げずに無駄遣いしている!」と、不満の声が上がる。それは社員が掛け軸に、1000万円の信用価値を見いだしていないからだ。
人は自分の信用を基準にして、物の値段を決めている。
紙幣や貨幣、つまりお金は、その数値の代理的な役割を果たしているものだ。
お金をたくさん扱っている人は、信用とは何であるかを理解している。特に理解力が高いのは、借金を抱える人だ。
「ビジネスで多額の借金を抱えています」と言われると、世間ではネガティブなイメージにとらえられるが、僕は逆に評価したい。その借金主には、借金の金額分の信用があったから、お金を借りることができたのだ。
起業志望の若者で借金を一切せず、せっせと自己資金を貯めている人がいるけれど、何をしているんだろう? と思う。信用されていないから借金できないだけじゃないのか。あるいはプライドのせいで、お金を貸してくださいと頭を下げられないのか。
行動を忘れ、信用稼ぎをしていない若者は、成功しないだろう。
コツコツとお金を貯めたところで、たかが知れている。
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