三菱今昔 150年目の名門財閥#18】経営学から見た三菱の未来

この連載では、週刊東洋経済に掲載された記事からcakes読者にお読みいただきたいテーマをピックアップしてお届けします。

※この記事の情報は、『週刊東洋経済』2020年3月16日発売当時のものです。

経営学から見た三菱の未来

早稲田大学ビジネススクール教授・入山章栄

 三菱グループの強さはどこから生まれたのか。「成功の方程式」は今後も有効であり続けるのか。三菱グループでの勤務経験もある経営学者、入山章栄氏が分析する。

── 経営学から見て、三菱のような企業グループにはどのような利点がありますか。

 企業グループの研究で有名なのが、米ハーバード大学のタルン・カーナとクリシュナ・パレプによる「取引費用理論」による説明だ。同理論では、新興市場で単一の事業だけを展開するのは非効率だ。自分たちでカバーできない川上や川下の領域を手がけるには、他社と手を組む必要があり、市場取引が発生するからだ。

 市場取引を効率的に行ううえでは、行政・司法のインフラが整備されていることが大前提だ。これらが未整備な新興国で現地パートナーと争いにでもなれば、裁判の結審まで時間を要し、「袖の下」を使った相手が有利になることもある。取引費用が高くつくのだ。取引費用を効率化するためには、A社とB社を1企業の傘下に入れて、企業内取引にするのが有効だ。インドのタタ・グループ、インドネシアのサリム・グループなど、新興国で今も財閥が力を持っているのはそのためだ。

── 三菱財閥もまさに、制度インフラが未整備だった明治期に誕生しました。

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