欲しいモノがはっきりしているか?
モノを持つことから早くに解放されている僕には、「捨てるのがいいのはわかっているけれど、捨てられない」という人の気持ちを理解することは、なかなか難しい。
捨てられない、それでもいいと思う。「捨てる」のが上手い人と、「捨てる」のが下手な人。どちらの属性の人も共存しているのが、普通の社会だ。
雑多なものが片づけられないまま、散らかっている。多様性の視点では、豊かな状態だ。何かのエネルギーを生み出す、きっかけとなるかもしれない。
ただそれは広い話で、個人でみるなら、不要物は「捨てる」の一択に尽きる。
「捨てられない」という人は、ゲノムとミームの関係で考えよう。ゲノムとは遺伝情報の総体であり、ミームとは人から人へと拡がっていくアイディアや行動、スタイルや慣習のことだ。人生においては、言うまでもなく、ゲノムよりミームの方が大事だ。
遺伝情報そのものを記録した物体を保つより、「意志」や「精神」「心に描いている実現したい自分自身」が、拡散・継承されていく方が、自分の生きてきた証になる。つまり自分自身のコピーを、より多く残すことが、人生の質を上げるのだ。
僕は、僕と同じ思考と行動のできるコピーがいっぱいいて僕と意志を同じくする仲間が増えていくと素晴らしいと思う。僕個人の快感や興奮は、実はあまり重要ではない。堀江貴文的な概念が、多くの若者たちへ、拡散・継承されていくことを願い、多くのビジネスを進めている。いまこうしてやっている書籍執筆も、そのひとつだ。
概念を受け取ったチルドレンたちが、堀江貴文的なものを進化させて僕の想像を叶え、さらに凌駕する未来を創造してくれれば、何より嬉しい。
ゲノムはランダムの要素が多い。だから継承には適さない。概念を記録したデータ、すなわちミームを残していくことに、僕は力を注いでいたい。
選び取るべきは“実在よりも概念”なのだ。それ以外のモノは、いらないのだ。
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