継体(けいたい)天皇を越国(こしのくに)から迎える①
オオド(男大迹天皇=第二十六代継体天皇)は、応神天皇の五世の孫で、ヒコウシ(彦主人王)※1の皇子です。母は、フリヒメ(振媛)といいます。フリヒメは垂仁天皇の七世の孫※2です。
オオドの父王は、フリヒメの容貌が端麗でたいそう美しいと聞き、近江国(おうみのくに)の高島郡(たかしまのこおり)の三尾※3の別邸から使者を遣わして、三国(みくに)の坂中井(さかない)※4から召し入れて妃とし、オオドが生まれました。
オオドが幼少のとき、父王が亡くなりました。フリヒメは嘆いて、
「私は今、遠く故郷を離れています。親に孝養を尽くすことができません。私は帰郷して、高向(たかむこ)※5で天皇をお育てしましょう」
と言いました。
オオドは成人し、人を愛し、賢人を敬い、心は寛容でした。
武烈八年十二月八日、オオドが五十七歳のとき、武烈天皇が亡くなりました。
武烈天皇には、もとより、男の皇子も女の皇子もなく、このままでは跡継ぎが絶えてしまいます。