あたらしいおかず#6
突然ですが、みなさん、お好きな油ってありますか?
私は、ごま油が一番好きです。
どのくらい好きかというと、昔、仲間とともに韓国を旅していた時、朝ご飯の約束を寝過ごし出遅れたにもかかわらず、市場の向こうにあるごま油工場の香りに吸い寄せられ、思わずすべての約束を放っぽりだした、というくらい好きです(あの時はごめんね、みんな…)。
韓国にて、ごま油を瓶詰めしている様子
この時が海外のごま油との初めての出合いでした。日本のものに比べて、香りがとっても強く驚いたことを覚えています。中国や台湾、もちろん韓国などに旅行した際、ぜひ皆さんもその国のごま油を購入してみてください(このパンデミックが終わった暁にぜひ……)。日本のものに比べて香りが強かったり、ちょっと違う香りが加わっていたりと、非常に個性豊かなんです。バターにしてもヨーロッパに旅行した際、売り場で見ると種類の多さにも驚きますが、なによりその安さに驚きます!大きな塊で持ち帰りたくなること必至です(ああ、早く海外に行きたい…)。海外に行ってスーパーや市場に行くことは旅行の楽しみのひとつです。いや、むしろメインです。
冷蔵庫いっぱいのバター!バター!バター!
そして、今までの記事でも何回も登場してきましたが、油はおいしさを作る1個の重要なアイテムです。でもこの油、実は日本食においては「あってもなくてもいい」というものでもあったんですよ。なぜならば、もともと日本食に油を使う文化って実はなかったからです。昔から受け継がれている料理、たとえば炊き合わせのような煮物やお味噌汁にも油って使わないですよね(そりゃあ入れてもおいしいのですが)。
で、油を使わなくてもおいしく料理ができる日本食において、なぜ油が使われるようになったのか。それは、もちろん海外との交流などを経て食文化が大きく変化したということもありますが、とっかかりとしては、油の特性が日本人が大好きな「だし」に似ているからじゃないかと私は思っています。そして、その「だし」として考えることにより、油が「炒める前にフライパンに素材がこびりつかないようにするために使う液体」から大きく変化します。今日は、いつもの使っているものを「だし目線」(どんな目線?)に変える、台所のあたらしい見方を、4月1日発売中『あたらしいおかず』よりご紹介します。
油は、だしだった……!?
だしは「うま味+香り」からなるもの。例えば、鰹節は(イノシン酸+鰹節の香り=かつおだし)となります。一方、油はうま味の代わりにコクを持っています。うま味とコクは非常に近いものがあります。いくつか例を挙げてみましょう。
- 油分(コク)+ゴマの焙煎香=ごま油
- 油分(コク)+オリーブの香り=オリーブ油
- 油分(コク)+ミルクの香り=バター
わかりやすい例をあげてみましたが、原料となる香りを少なからず持ち合わせているものが多いです。このように、香りがポイントとなって、だしと似た構成をしているのです。
そのもっとも香りを生かした使い方が、「仕上げ油」です。
その仕上げ油を堪能できる、レシピを一つご紹介します。
魅惑のバターしょうが焼き
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