人間の生き方、育て方に「正解」なんてない

中村綾花さんによる、フランスでの妊娠・出産の一部始終をお伝えするこの連載。出産後のドタバタした新生活を送る中村さん。今回はフランス人の価値観を強く感じさせられた、小児科検診の体験を紹介します。

産後、「自分ロス」に気づかされました

前回、出産後のドタバタした新生活のなかで、自分よりも赤ちゃん最優先の生活となり、ついつい親である自分を後回ししがちになった状態を「自分ロス」と名づけました。

そして、自分が完全に「自分ロス」に陥っていたことに気づかせてくれ、感動した「ふたつの言葉とエピソード」を紹介しています。

ついつい子ども優先で考え、行動してしまうのは、私自身が日本人であり、これまで日本で無意識に刷り込まれた「情報や価値観」があるからではないか? ……と、異国フランスで子育てするなかで思うようになりました。

たとえば「授乳」を例に挙げると、日本では「子どものためには授乳がベスト」という傾向があるように見えます。

一方、フランスでは「オッパイの形が崩れるのが嫌」、「パートナーにも子育てを分担できるようにミルクを選ぶ」、「仕事復帰を優先するために授乳しない」なんて言う人もいれば、「最後の子どもには3歳まで授乳した」なんて真逆な人に出会ったこともあります。

どちらが「良い」、「悪い」という空気やプレッシャーは特にありません。「授乳 or ミルク」は、あくまで自分の意思とライフスタイルに合ったほうを選ぶ、選択肢のひとつとして捉えられているように感じています。

このように、授乳ひとつとっても、子育ての価値観が日本とフランスでは異なっています。フランス人の価値観の根源にあるのは、前回も触れた「子どもは子ども、親は親。両者はべつの個であって、尊重し合う関係にある」という考えがあるからだと思います。

さて今回も、改めてフランス人の価値観を強く感じさせられた、小児科検診の体験を紹介します。

小児科の先生に言われた言葉

我が子が産まれて最初の小児科検診を受けに行ったときのことです。私はこの日を迎えるのがとても待ち遠しくてたまらなかったことを覚えています。

赤ちゃんとの新生活が始まってから、毎日がむしゃらに暗闇を手探りで歩くように、「このやり方でいいのかな?」、「私はちゃんとこの子を無事に育てられているのかな?」、「問題なく成長しているのかな?」と悩んでいました。どれも、自分でははっきりと答えを出せないことばかりです。

だからこの検診で、私がやっていること、そして赤ちゃんのコンディションについて先生にすべての質問をぶつけて、「正解」なのかどうかを答え合わせし、不安を解消できると期待していました。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
パリジャン十色

中村綾花

“花の都”と称され、雑誌やテレビでもその優雅なイメージが特集されることの多い、フランスの首都・パリ。パンやスイーツはおいしいし、ファッションは最先端だし、歴史ある建物たちも美しいし、住んでいる人もおしゃれな人ばかり……と思いきや、パリ...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません