♪『東京電脳探偵団』はこちらから聴けます♪
「自警団だ……」
野次馬たちが口々に言うのが聞こえる。
「レン、あれ、知ってるか?」
ミクは敢えて聞いた。レンの気を少しでもユウキの死から逸らせたかった。
何度か街で見かけたことがあるよ、とレンは言った。
自警団は地元の有志で構成された、治安を守るという名目の組織だ。なんら法的な権限を与えられているわけではないのだが、この地域一帯で事実上機能していない警察の代わりに、パトロールなどをしている。ときには事件の捜査も行うことがあるというから、それで出張ってきたのだ。彼らのお陰で治安が守られている部分もあるにはあるが、実体はそこらのチンピラの寄せ集めだという噂は、あながち間違っていないと思う。現に、先頭を切って歩いてくる屈強な男はどうみても映画に出てくるマフィアそのものだ。
「あの二人が、ペッパー兄弟だ」
レンが小声で教えてくれた。
先頭のいかつい二人は、滑稽といっていいくらいまったく同じ姿形をしていた。マッチョとデブの境目のような体を黒いスーツで包み、ツルツルの頭にヒゲ、真っ黒いサングラス。肌の色だけが違っていて、片やアルビノのような色白、もう片方は黒人のように黒い。こうして歩いているだけでかなりの威圧感だが、一人は軍上がり、一人は元警官だそうだ。
「白胡椒と黒胡椒って呼ばれてる」
と、レンは言った。
それよりもミクは、ペッパー兄弟の後ろを
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。