ボウルを選ぶとき、素材とサイズ以外に気にするとよいこと

普段使いの調理道具や調味料について、料理家の樋口直哉さんが「これがベスト!」と考える一品を紹介するこの連載。今回のテーマは「ボウル」です。ボウルによって、料理のしやすさはけっこう変わってきます。ステンレス製やプラスチック製など、店頭にはさまざまな種類のボウルが並んでいますが、どういうふうに選んだらよいのでしょうか?

ボウル(ボール)は深さのある調理用容器のことで、粉を練ったり、食材を混ぜたりするのに使います。一通りの道具を揃えたあとに購入する……というイメージがあると思いますが、はじめに持っておきたい道具の一つ。なぜならその有無で調理の段取りが変わってくるからです。ボウルは火を通さない料理における鍋のような存在、といえばその必要性が伝わるでしょうか。

普段、ボウルの使い勝手など「考えたことがない」という人が多数派でしょう。ボウルはその重要性のわりに、あまり気に留められません。粉を捏ねることが重要だった欧米のキッチンとは違い、日本の台所にはもともとボウルがなかったこともその一因でしょう。今回はそんなボウルについて、改めて考えてみます。


ボウルはステンレスかプラスチックか、それとも…?

ボウルの材質や形状、大きさは様々。一般的なのはステンレス製で、100円均一で売られているような安価なものからある程度値段が張る製品まで価格帯もいろいろあります。ステンレス製のメリットは丈夫さと軽さを両立している点。デメリットは使い方によっては金属臭が気になる部分です。

金属臭は例えばステンレス製の泡立て器を使う場合、泡立て器とボウルの内側がぶつかり、表面の被膜が傷つくことで、生じます。金属臭はステンレスのグレードによっても異なり、表示をよく見るとクロムとニッケルの割合によって

18-0>18-8>18-10>18-12>20-20

という具合に素材が示されています。右にいくほど強度と価格が高くなりますが、調理用途としては最低でも18-8以上のグレードのものが適しています。また、洗う際は表面の被膜が傷つかないように研磨剤入りの洗剤や金たわしの使用は避けてください。

安価なボウルの代表はプラスチック製。プラスチックは「軽い」という長所がありますが「洗剤や汚れが残りやすい」という致命的な弱点があるので避けましょう。プラスチックは脂肪に似た炭化水素素材なので、油汚れや洗剤が残りやすいのです。そのため、プラスチック製素材は例えば生クリームや卵の泡立てなどには適していません。また、表面がやわらかいので傷が入り、そこに汚れが溜まりやすい、という弱点もあります。

ガラスのボウルもあります。ガラスは優れた素材で、金属よりも熱伝導率が悪いため、湯煎にかけた際に熱を穏やかに伝えることができる、電子レンジにかけられる、などのメリットがあります。汚れも残りにくく、金属の味もしませんし、料理雑誌や料理番組では撮影しやすい(外からなかの食材が見えやすい)ので、よく使われています。

そう考えるといいことばかりのようですが、弱点もあります。それは「割れる」という点です。ガラスは急激な温度変化に弱く、耐熱ガラスであってもハードに使うとヒビが入りますし、もちろん衝撃を与えても割れることがあります。他に実際の料理に使うには重いというデメリットもあります。

プラスチック製のボウルをのぞいて、ボウルの素材はメリットとデメリットがあり、魔法の素材はありません。それでは数あるボウルから一体、どれをオススメするのか。考えた結果、今回は『柳宗理 日本製 ステンレス ボール 23cm』を選んでみました。


柳宗理 日本製 ステンレス ボール 23cm(出典:Amazonより)


ボウルを見極めるには「横」から見る

「なんだふつうのステンレスボウルじゃないか」

そう思われるのも無理はありません。しかし、選んだ理由がちゃんとあります。

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樋口さん、どれがいちばんですか?

樋口直哉

包丁、まな板、鍋、フライパン、塩や醤油などの台所に欠かせない品々について、食の博識・樋口直哉さんがベストと思う一品を紹介します。なぜ、それがベストなのかという理由や選ぶときのポイントを解説するので、これを読めば迷わず納得してその品物を...もっと読む

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コメント

umomousio タイトル通り、今まで調理用のボウルを選ぶときは素材とサイズくらいしか気にしてなかったので目から鱗! 4ヶ月前 replyretweetfavorite