♪『東京電脳探偵団』はこちらから聴けます♪
「それであの……依頼の内容は?」
ミクは本題に切り込んだ。これ以上ハルナちゃんの話を聞かされないためにはこうするしかない。
彼は俯いて、それまでやや砕け気味だった表情が急に真顔になった。
「……彼女が、最近全然ログインしてないんすよ」
声のトーンも下がって、周囲のゲームの音にかき消されそうだ。
ミクは身を乗り出した。興味を持ったわけではなく、声が聞こえにくかったからだ。
「毎日一緒に狩り行くの日課だったんすけど、急にログインしなくなって、もう一カ月も会ってないんすよね……」
「会ってないっていうのは、ゲームの中での話?」
ミクも一応そこは確認しておく。
「一応メアドは交換してるんすけど、オフでは会ったことないんで……」
そういうものか、とミクは感心した。相手が現実でどんな人間かはまったく関係なく、ゲームのキャラクターとの触れ合いだけで恋愛感情など持てるものなのか。それとも、そういった感情も含めて役割(ロール)を演じて(プレイ)いるということなのか。
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