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ペンネーム:ドン・コーム
こんにちは。 今回相談させて頂きたいのはファッションに関して「自分の好み」を取るべきか「女子ウケ」を取るべきかという問題です。
私は大学2年でオシャレに興味を持って一年ほどになります。 服やアクセサリーを揃えてコーデを増やすごとに「お洒落だね」と異性から言ってもらえる機会も増えました。
しかし、、だからこその悩みが出てきました。 それが先述した、自分好みのファッションを取るか女子ウケするファッションを取るかという問題です。
元々、私がファッションに興味を持ったのは女子ウケを良くするためでした。
また、私の服の好みも比較的シンプルで、ドレス寄りの着こなしをよくするため、大多数の女子からのウケはいい方だと思います。
これだと一見、お洒落をする目的と私の好みが一致しているように思えますが、最近少しずつファッションに拘る理由が変わってきました。具体的には、これまで女子ウケさえすれば良かったのが、服などの商品そのものの面白さを楽しむようになっていたんです。
今は、複雑なディティールを持ったカジュアルな服も着てみたいですし、異常なほどオーバーな着こなしもしたいと思ってしまいます。
それでも相変わらずシンプルなファッションは好きなのですが、自分の中のこれからどうやって服を選べばいいのか、その軸が失われているのは事実です。
曖昧な質問で申し訳ないのですが、この複雑な気持ちにどう折り合いを付ければ良いでしょうか?
お答え頂けると幸いです。
ありがとうございます。これは、「服好き永遠の悩み」と言えるかも知れません。
当初は「目的=モテたい」「手段=ファッション」という状態でしたが、ファッション文化に触れるたびにその深さに魅せられて「目的=ファッション」になってしまったと。おそらく多くの服好きが経験することではないでしょうか。
ファッション的に優れているからと言って、必ずしも褒められるわけじゃないのが問題を難しくしています。ファッションはれっきとしたアートですが、絵画や彫刻など他のアートと異なり、防寒性や社会性を保つための「実用品」という側面もあります。
社会性を保つアイテムとして、つまりコミュニケーションツールとしてファッションを見ている人にとっては、アート性の高いファッションは理解し難いものがあります。
例えばどんなにアートとして優れているからといって、ビリビリに破いたマルジェラのニットを「おしゃれだ」と認識するのは難しいでしょう。ペンキがこぼれたようなヘルムートラングのジーンズを「ジャクソンポロックのアクションペインティングを上手に洋服に落とし込んでいる」といくら説明しても、「ただの薄汚れた古着のデニム」にしか見えない人のほうが多いと思います。
バンクシーの絵が「ただの落書きじゃん」と評されるのに似ていますね。アートにはリテラシーが必要です。だからこそ面白いし深みがあるのですが、大多数の人からすれば「絵に数億円かける意味がわからない」わけです。ここはファッションをどの視点で捉えているかの違いなので、認識を埋める手段はありません。
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