♪『東京電脳探偵団』はこちらから聴けます♪
「ミクちゃん、弟さんから電話。二番」
受付の席に座っているお姉さんが振り返り、ミクに言った。電話を保留にしてくれている。
弟というのは、この病院が入る建物の、屋上のペントハウスで一緒に暮らしているレンのことだ。実の弟ではないが、説明が面倒なので弟ということにしてある。病院の人たちはミクが院長の遠い親戚だと聞かされているため詮索されることもなかった。
ミクが電話に出ると、レンが興奮した様子で喋り出した。バックグラウンドの音がやけにうるさい。病院に電話してきたということは、なにか急用か、トラブルか——。
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