みそは特別な調味料。しょう油や塩などをそのまま口に入れると、単独ではそれほどでもありませんが、みそはそのまま舐めてもおいしいもの。みそはアミノ酸や有機酸、無機酸、塩類などをバランス良く含み、他の調味料と比べると緩衝作用に優れています。
緩衝作用とは酸やアルカリの影響をやわらげる働き。このお陰で例えばみそ汁にはどんな具材を入れても、汁自体の味が損なわないのです。だから、みそ汁は食材のやり繰りの強い味方。余り物の野菜を色々と入れても、みそが酸味やうま味、甘みなどをまとめあげ、おいしくしてくれます。
ただ、スーパーに行くと、多種多様なみそが売られていて、棚を前にしても、それぞれの特徴や味はわかりません。そのため選ぶのが難しい調味料と思われがちです。でも、分類を理解しておけば大丈夫。
まずは材料によって「米みそ」「豆みそ」「麦みそ」に分類されますが、最も一般的なのは米みそ。そのシェアは8割を占め、料理本のレシピにただ『みそ』とあればそれは米みそを指します。
というわけで一つ選ぶのであれば「米みそ」になりますが、米みそにも種類がいろいろあり、それは色によって分類されます。
まず〈白みそ〉は大豆を蒸さずに煮たり、熟成を短期間にすることで、メイラード反応を抑え、色を白く仕上げたもの。発酵よりも糖化に重きを置いたみそで、味は甘口。
写真中央の〈淡色みそ〉は発酵管理などに気を配り、色づけないように仕上げたもので、信州みそが代表。山吹色と表現される明るい色合いが特徴で、関東圏ではみそ汁などでおなじみ。
最後の〈赤みそ〉は熟成期間を長くとることで、色が濃くなったみそ。この色はメイラード反応の産物、コーヒーや肉に焼き色がつくのと同じメカニズムによるものです。メイラード反応=おいしさですから、みその色が淡いほどあっさりとして、逆に濃いほど風味が強い、という傾向があります。つまり、色から味を推察することができるのです。
米みそにはさきほど挙げた「信州みそ」以外に「仙台みそ」「秋田みそ」「津軽みそ」といった各地の名前がついたみそもあります。
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