増田明美「告げ口文化」
21日にNHKで放送された討論番組『令和未来会議 あなたはどう考える?東京オリンピック・パラリンピック』で、スポーツジャーナリストの増田明美が、東京五輪開会式の総合統括・佐々木宏が辞任するに至った一連の流れについて、「告げ口文化。嫌い」と強い口調で断じた。増田のマラソン解説の特徴である、目の前の状態を事細かに見つめようとする視座が一切欠けていた。あまりに乱暴なまとめではないか。
「週刊文春」に掲載された、渡辺直美をブタに見立てた差別的な演出プランについて報じるワイドショーをいくつもチェックした。司会者やコメンテーターの多くが、確かに問題だとは思うんだけど……と前置きした上で、早速その前置きを踏んづけながら、1年前の内部でのやり取りが今頃明らかになったことを問題視し、「この発言が表に出されるのは意図的なことを感じるし、全面的に乗って糾弾するのは気持ちが悪い」(八代英輝弁護士・18日『ひるおび!』TBS系)などと、議論をずらそうとした。
内部告発やハラスメントの告発には時間がかかる
「週刊文春」のスクープ記事は、記事の一部が無料公開され、有料記事や雑誌購入を促すようになっているが、コメンテーターとして意見を述べる立場ならば、少なくとも記事全体を読み通しておくべき。今件は、表に出るはずじゃなかったやりとりが内部から流出した、で終わる事案ではない。開会式演出の執行責任者に選ばれたMIKIKOは、過度なストレスにより突発性難聴との診断を受け、演出チームの一人で障がい者パフォーマンスイベントを手がけるディレクター・栗栖良依は、プレゼン直前に佐々木から資料が送られてくるだけで、「障がい者も賛同した」と強調するために利用された、と嘆いていたとある。