「あたらしい」は食卓に必要?#2
ごはんは、あたらしくたって、あたらしくなくたって、美味しければそれでいいじゃないか!と思っている派ですが、やはり家族から「またこれ~?」だったり、「ピーマン嫌いって言ったじゃん!」なんて言われると、うんざりすることもよくありますよね。そんな時にだって、活躍しちゃうのが「あたらしいおかず」です。
私がお気に入りで作っていても、実は息子にとってはお気に入りじゃなかった時のショックははかり知れないものがあります。上にもあげましたが、例えばピーマン。ピーマン嫌いなお子さんは多いものです。ピーマンの肉詰めを、ピーマン嫌いでも食べられる形に変えたとしたら……。まずピーマン丸見えだと視覚的にハードルが上がるので、ピーマンを刻んで肉だねに混ぜます(古典的)。そして、ソースはピーマンの独特の臭みを感じない、強い香りの「焦がししょうゆソース」にしてみます(あたらしい!)。
こんな感じで、既存のメニューを家族や自分のニーズに変えていき「我が家流」にできる発想こそが、食卓のマンネリ解消のカギですし、なんてったってそんなことができたら立派な料理上手の仲間入りです。
そんな発想のヒントになることを、4月1日発売の本「あたらしいおかず」のレシピを例に出しながらご紹介していきます。
冷ややっこが10倍楽しくなる…
~しょうゆの代わりに何を差し出す?~
前回、納豆は完成しているものだから「ご飯に合うもの」さえ合わせていけば足し算で旨味や風味、食感がまして「おいしく・あたらしく」なると紹介しました。
今回は、考え方を少し逆にしました。味の「足し算」ではなく「引き換え」。こちらでもあたらしくなります。いや、むしろこちらの方がぐっとあたらしさが増します。
分かりやすいのが、冷ややっこ。
冷ややっこにいつもかけるものは?
そう、しょうゆと鰹節です。
これが、伝統のベストオブベストの組み合わせ。異論はないでしょう。
え?地味だって?まあ確かに少し地味さはありますが、間違いない組み合わせです。
では、この伝統の組み合わせを生かしつつも、冷ややっこを「あたらしく」してみます。そう、温故知新です(そうなのか?)。
【冷ややっこの構成】
- しょうゆ→塩味
- 鰹節→旨味(だし)
これを、違う素材に置き換えればいいだけです。それが「引き換え素材」。同じ要素をもった素材に差し替える、ということです。ここでも、私のおすすめの冷ややっこパラダイスをどーんとご紹介。
これが私のおすすめやっこたち。ここでも代表的なものを紹介していきます。
① トマトxナンプラー
トマト=旨味、ナンプラー=塩味+旨味 ということで、旨味倍増の組み合わせです。アクセントで玉ねぎを刻みましたが、面倒であればなしでも十分成立します。でも、できたら入れてほしいな。
②使用済みだしパックx梅干し
お味噌汁を作るときにだしパックを使っている方、だしをとった後どうしてますか? 捨てるのは断固反対!とりあえず、豆腐にかけてみてください。言わずもがな、だしパック=だし(旨味)、梅干し=塩味 という役割です。こちらは少しアクセントでしょうゆをたらしても。
③ライムxパクチーx塩昆布
こちら、お手軽に異国感を味わえる、おすすめやっこ。塩昆布=旨味、塩味 で補完されているため、あとは風味を加えて異国感を漂わせるだけ。ライムとパクチーでさわやかな冷ややっこになります。
このように塩味と旨味がそろえば、こちらも、もうなんだってよし!写真にもあるように旨味素材は、しらすでもいいし、ツナだっていい。味噌は塩味を備えているので、しょうゆの代わりになりますし、お漬物も塩味の代わりに活躍します。
納豆は懐が大きいと前回いいましたが、豆腐は、納豆と逆の意味で懐が大きいのです。なぜなら、まったくクセがないため、クセがある素材をふんわりと包み込んでくれるからです。
つまり、これって人間社会と一緒です。クセの強い人間だけが集まってしまうと、なかなか意見がまとまらない、なんてことがよくあります。食材も一緒で、クセのあるタイプの食材ばかりを集めると、ケンカする確率が高い。クセのあるタイプもいれば、中和するタイプもいて、そして懐が大きなタイプもいる。それらのタイプがバランスよく存在することで、すごく良いチームとして成り立ちます。
どのように食材のチーム戦で戦えばいいのか、と考えてみるだけで自分でも「あたらしいおかず」のトビラを開けるヒントになることに違いありません。冷ややっこの「あたらしい」可能性を感じるだけで、いつもの冷ややっこよりも少し楽しみが加わりますよ。
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