「未成年の主張」での動き
あと1年半ほどで40歳になろうとしている自分にとって、全員が40代のV6は、少し年上のアイドルに位置付けてきた存在である。彼らがデビュー会見を開いたのが1995年9月のこと。自分が中学校に入学してすぐの時期にあたる。昨日観たテレビや、最近発売されたCDの話題が、とても素直に話題の中心となっていた時期に、V6の飛躍が重なっていた。
V6について、議論すべき点が無数に生まれるので、ここでは、彼らの運動神経についてのみに絞りたい。1997年から、バラエティ番組『学校へ行こう!』(TBS系)が始まる。2008年まで続いたこの番組の名物コーナーといえば、学校の屋上に生徒が立ち、校庭に並んだ生徒や先生たちに向けてスピーチする「未成年の主張」である。好きな人に告白したり、先生への苦言をぶつけたりするのだが、印象的なスピーチが終わった後、近くでモニター越しに観ていたメンバーが体を反転させ、生徒に向けてダッシュをする。その反射神経というのか、無駄のない動きを見て、「めちゃくちゃ速いな」と思っていた。
カミセンもトニセンも俊敏
今こうして、それなりに年を重ね、特にスポーツをやっているわけでもない場合、体を瞬時に動かす動作って、ほとんどしなくなる。モノを落としそうになった時、走れば電車に間に合うかもしれない時、整理番号順に入場したライブハウスで少しでも良い場所を確保しようと早歩きで向かう時くらいのものだ。そのそれぞれで自分の身体の衰えを感じるが、一旦そう感じた後で、「果たして、若かった頃、身体は俊敏だったのか」という問いが浮かぶ。答えはすぐに出る。身体が俊敏だったことなど、これまで一度もないのである。
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