環境にもよると思いますが、毎日のご飯に汁物が欲しい、という方はそれなりにいるのでは。というわけで、今日は味噌汁をつくる鍋について考えます。
僕がオススメするのは2人前を前提とするなら中村銅器製作所「15cm アルミ製雪平鍋」、4人前を前提とするなら「18cm アルミ製雪平鍋」です。
こちらの雪平鍋を挙げたのは自分が使っているからなのですが、中尾アルミや北陸アルミニウムなどでも同様の製品を作っているので、そちらでも同様に使えます。さて、味噌汁づくりのための鍋を選ぶポイントはどんなところにあるのでしょうか?
鍋選びに大切なもの
一般的に「鍋の選び方」という話題になると「金属の熱伝導率」が話題に上がってきます。
『加熱調理と熱物性』(杉山久仁子 日本調理科学誌 Vol46 No4)より引用
たしかに鍋の性能と熱伝導率は関係します。素材でいうと銅が最も熱伝導率が良く、ついでアルミ、鉄、ステンレスの順番になるので、よくアルミ鍋は「早くお湯が沸く」、あるいは鉄やステンレスの鍋は「お湯が沸くのは時間がかかるがじっくりと温まるので……」という具合に説明されます。しかし、実際にはどこまで影響するのでしょうか? 味噌汁づくりには早くお湯が沸いたほうがいいので、実験してみましょう。
水(初期水温13℃)を中火にかけ、沸騰するまでの時間を計測しました。
鋳物はサイズが小さいので参考ですが、あまり多くない水を沸かす場合、銅とアルミの差はわずかで、意外なことにステンレスや鉄も他と比べてひどく時間がかかる、というわけではないようです。
いずれにせよ、実際に使用する水量を前提にすると、鍋の素材による熱伝導率の差は、それほど重要ではないのです。味噌汁用の鍋を選ぶ場合、重要なのはむしろサイズ。鍋の場合は大は小を兼ねるということはなく、分量に対して適切な大きさを選ぶ必要があります。
15cmの雪平鍋のMAX水量は600nl。鍋には基本的に食材が入るので、容量いっぱい使うことはなく、400mlくらいが実質的な調理水量です。味噌汁1人前の水量は150ml。2人前で300mlです。加熱によって蒸発する水分量を10%と見積もり、具材を入れて、加熱をはじめる段階で加える水量は330mlになります。つまり、15cmの雪平鍋だとちょうど2人前がつくれる計算になります。
4人前つくる方はどうでしょうか? その場合は15cmではなく「18cm アルミ製雪平鍋」をオススメします。18cmのMAX水量は1.2Lで、実質的な調理水量は800mlくらいでしょうか。4人前の味噌汁をつくる場合、水660mlを加熱し、最終的な水量は600mlくらいになるので、ちょうどいいのです。
アルミ鍋をオススメする理由は「軽さ」です。汁物を器に注ぐときによく見かけるケースは鍋を置き、器を手に持って、注ぐパターン。この方式だと器が安定せず、きれいに注げません。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。