昨年の6月から続いてきたこの連載も、今回が最終回です。今まで僕の記事をお読みくださった読者の方には、心からお礼申し上げます。
毎回の記事には、僕のサービス現場での事例をもとに、実際の行動に移しやすいようなコミュニケーションの技法を書くようにしてきました。その一つひとつを実践してくださっていれば、少しずつあなたの恋は前に進んでいるのではないか思うのですが、いかがでしょうか。
うまくいった方も、そうでない方も、または、うまくいったとしてもすぐまた別の悩みが出てきた方もいらっしゃると思います。それはある意味当然のことだと、僕は思います。なぜなら恋愛における相手は、必ず人間だからです。
相手が一人ひとり異なる人間である以上、誰に対しても同じようにいくとは限らない。どんなテクニックを身に着けたとしても、自分の思い通りにならないのが恋愛です。
「でも、素敵な恋がしたい!」そう思ったあなたへ朗報です。素敵な恋が舞い込む方法、あるんです。
恋愛は相手次第だから思い通りにならない? 関係ありません。必ずうまくいきます。でもそのために、ちょっとだけ、覚悟と努力が必要になります。
今回は、僕がレストランでサービスマンをしていたとき、そして今もサービス業で働いている中で、もっとも大切だと考えていることに触れながら、お話したいと思います。
父から受け継いだ「美容師だと思われるな」の意味
僕の父は美容業を営んでいます。複数店舗のヘアサロン経営のほか、婚礼やその他の冠婚葬祭のお手伝いもしています。
僕は学生の頃から父の職場に手伝いに行っていました。いや、「行っていた」というのはやや語弊がありますね。最初は強制的に手伝わされていました。
「商売人の息子は、時間があれば手伝うのが当たり前だ。お前の学費はそこで働くスタッフのおかげで出てるんだ。お前がスタッフに感謝の気持ちを持たないでどうする」と父が僕に言ったのを覚えています。
一度だけ「バイト代」をくれたことはありましたが、基本は無給でした。夏休みなどの長期休暇の多くは父の店で過ごしていました。
タオル洗いから始まった手伝いは、次第にお客様の案内や予約管理、いつしかお客様のドライ(髪の乾燥)まで及ぶように。具体的な施術以外のことはあらかたやっていたように思います。
「強制的に」とは書きましたが、そうした手伝いの中でスタッフの方々に対する感謝や敬意を自然とおぼえるようになったのは、のちのちの自分にとってよかったと感じています。
その父がある日のミーティングで、スタッフにこう話したことがあります。
「『あなた、美容師ですよね?』と言われるような美容師にはなるな。『あなたは、いろんなことを知っているし、お話も上手だし、身なりも美しい。いったい何のお仕事をされてるんですか?』と言われるようになれ」
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