大失恋したばかりの大学生から、相談を受けたことがあります。
つきあっていたときは幸せで、毎日感謝の言葉にあふれていたのだそうです。でも別れる間際は、不平不満と自分の気持ちの押し付けばかり。
「どうしたら、当たり前の日常を大切にして、感謝できる人になれますか?」
確かに恋がうまくいっているときって、気持ちに余裕があるし、相手だけでなくいろんな人に優しくなり、当たり前のことにも感謝できます。恋が人を美しくするのはそのせいかもしれません。問題は「一体どうしたら、幸せでないときも、当たり前のものに感謝を持ちつづけられるか?」ということ。
答えは単純で、「ありがとう」という言葉を、当たり前のものにかけ続けることです。「なんだ、そんなことか」と思うかもしれませんが、ありがとうの定義を改めて考えてみましょう。
「ありがとう」という言葉は日本独自の文化から生まれてきた言葉です。google翻訳では、「ありがとう=Thank you」。でも、「Thank you」と「ありがとう」は同じように見えて本質的に全く違う言葉なのです。
「あなたに感謝する」、これがThank youです。何かやっていただいたことに対して感謝を申し上げる。つまり相手がいます。
でも、「ありがとう」は存在論とも言うべき哲学なんですね。「ありがとう」は漢字で「有難う」、有ることが難しいと書きます。どういう意味かといえば、たとえば書店さんに何万冊もある本の中で、私の本を手に取っていただいたという現象が有る、これはなかなか有り得ない奇跡なんです。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。