第24回】メルケル首相三選も、国政はストップ!? 対峙する二大国民政党の大連立協議はこれからが正念場

おそらく日本ではもう忘れられてしまう頃だろうが、去る9月22日、ドイツでは連邦議会の総選挙が行われた。このことについては、9月27日の記事で報告し、事態が進展したら続きを書きますと言っていたのだが、それから1ヵ月以上が過ぎた今、ほとんど何も進展していない。つまり、ドイツでは、まだ政権の行方が決まっていない。


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おそらく日本ではもう忘れられてしまう頃だろうが、去る9月22日、ドイツでは連邦議会の総選挙が行われた。このことについては、9月27日の記事で報告し、事態が進展したら続きを書きますと言っていたのだが、それから1ヵ月以上が過ぎた今、ほとんど何も進展していない。つまり、ドイツでは、まだ政権の行方が決まっていない。

確固とした展望が見えないドイツ新政府

9月の総選挙の結果をかいつまんで繰り返せば、現在の与党CDU(キリスト教民主同盟)とその姉妹党CSU(キリスト教社会同盟)の連合が圧勝。一方、今まで与党の一角を成していたFDP(自民党)が全滅し、63年ぶりに連邦議会から姿を消した。

そして、野党SPD(社民党)や緑の党も姿は消さないまでも、結果は振るわず、ショック状態という感じ。そんなわけで、「メルケル首相三選! アデナウアー首相、コール首相に次ぐ快挙、万歳!」となるやに見えたのだが、現実はそう簡単ではなかった。

問題は、圧倒的な人気を博したCDU+CSUが、彼らだけでは議席の過半数を占められないことにある。安定した政治をするためには、安定した連立相手を探さなければならない。しかし、それがなかなかうまくいかず、未だに新政府の確固とした展望が見えない。

連立の可能性としては、まずSPDとの大連立が挙がる。緑の党との連立も、議席数からすればぎりぎり可能だ。そこで、選挙後間もなく、CDUはこの両党と、連立協議に入るかどうかの打診を2度ずつ持った。2度目の打診で、緑の党は、両党の目標があまりにも違うという理由で、連立の可能性を却下。野党に留まることに決めた。

一方、SPDは、やはり2度目の打診の後、連立協議に入ることを決定。しかし、党内の雰囲気は一枚岩ではない。メルケル首相の威光の下に霞んでしまい、SPD独自の政策を放棄しなければならなくなることを懸念する声が高い。

また、それに加えて、大差での敗北に内心忸怩たるものがあるからだろうか、現実離れした主張も目立つ。「連立するなら、大臣のポストも何も、すべてフィフティー・フィフティーであることが条件だ」とか、「我々の方から連立にさせてほしいと頼み込んでいるわけではない」とか、「再選挙の可能性もある」とか。連立相手に事欠くCDUの弱みを利用するつもりかもしれないが、しかし、あまり度が過ぎると、国民の目には、SPDの無理強いばかりが印象に残ってしまい、かえって不利になるだろう。

対峙する二大政党はどちらも中道

SPDというのは、かつてはCDUと並ぶ二大国民政党の一つだった。保守のCDUに対して、革新の姿勢を貫いてきた伝統ある政党だ。昔は、資本家対労働者という棲み分けが顕著だったので、栄えある労働者の政党でもあった。今でも、党員にはそれなりのプライドがある。

ただ、今では、自分が労働者であると思っている国民がとても少なくなってしまったので、労働者の党という掛け声では、誰も票を入れてくれない。そこで、労働者でもないが管理職でもないという、いわゆる一般庶民がターゲットになり、そうなるにつれて、政策もどんどん中道となっていった。

一方、CDUも昔のように保守とばかりは言っていられない。もちろん、「我、資本家の味方なり」というような態度も取れない。戦後から現在まで、ドイツ国民の頭のリベラル化は進む一方だったので、CDUもそれなりの軌道修正を繰り返してきた。

その結果、今、ドイツの国民二大政党は、どちらも中道であり、その政策はとても似通っている。環境問題にしても、福祉政策にしても、争点は本質的なものではなく、程度の違いだけだ。すなわち、SPDの悩みは、売りにする物が無くなっていることだと言ってもよい。党の切り札がない。それが票離れの要因の一つであることは確かだろう。

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シュトゥットガルト通信

川口マーン惠美

シュトゥットガルト在住の筆者が、ドイツ、EUから見た日本、世界をテーマにお送りします。

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