フライパンは使用頻度の高い道具。思い切って新調すると料理をする時の気分も変わります。というわけで今日のテーマは「フライパン」です。
フライパン選びはよく「フッ素樹脂加工(テフロン)」か「鉄製」、あるいは「ステンレス」や「セラミック」という具合に、素材の議論になりがちですが、じつは重要なポイントは別にあります。今回、僕がオススメするフライパンは「ステンレス+アルミ製フッ素樹脂加工 24cm〜26cmのフライパン 」です。
製品でいうと「アイリスオーヤマ フライパン シルバー 26cm」「マイヤー フライパン スターシェフ2 フライパン 24cm or 26cm」などが該当し、これらのフライパンの性能はほぼ同じです。「一つだけ選ぶ」という本連載の趣旨からは外れますが、それに加えて20cmのフライパンがあればさらにベターでしょう。
「じゃあ、フッ素樹脂加工のフライパンがいいんだ」
という話ではありません。順番に説明していきましょう。
フライパン選びに大切なもの
フライパンの性能の善し悪しを決める要素に「加熱ムラ」があります。フライパンを下から熱するとやがて温まっていきますが、フライパンの表面が均一に熱くなっていくわけではありません。鍋の厚みよりも直径の方が当然大きいので、熱が水平に広がる前に、垂直に伝わるからです。
この加熱ムラを抑えるためには〈鍋の厚みが重要〉とされています。フライパンが薄いと、コンロの熱が広がることなく、火が当たっているところが先に熱くなり、加熱ムラが大きくなってしまいます。
加熱ムラには厚みだけではなく、金属の熱伝導率の違いも関わってきます。意見が分かれるのはこの部分。
「鉄は熱伝導が悪いので、じんわりと熱が広がり、加熱ムラがない」
「いやいや、熱伝導がいい銅製のフライパンがベスト」
加熱ムラを抑えるには「熱伝導のいい金属」(例えば銅やアルミ)と「熱伝導の悪い金属」(例えば鉄やステンレス)のどちらのフライパンを選べばいいでしょうか。ここは実験してみる必要があります。
一般的なアルミ+フッ素樹脂加工のフライパンと鉄鋳物の分厚いフライパンを1分間予熱し、FAX用の感熱紙を密着させ、さらに加熱を続けます。その結果が上の写真です。フッ素樹脂加工のフライパンには全体に熱が伝わり、鋳物は熱い部分と冷たい部分があるのがわかります。
単純に「フライパンは鉄であればいい」あるいは「厚ければいい」というわけではないのです。この温度分布のムラは充分に予熱した、としてもなかなか消えません。均一に温めるにはガスコンロではなくオーブンで予熱する必要があります。
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