物語」をつくるときわたしたちの中に神様が宿る

連載第51回は蘭ちゃんの日記。土門蘭の長編小説『戦争と五人の女』を書いた時のことにも触れています。「作ることとはなにか」って、仕事と遊ぶことの境界線ともいえそう。日本では春先の気候を「三寒四温」と言ったりしますが、作るというのもそういうバランスかもしれませんね。だんだん春になるのも「作る」って感じ!(毎週火曜日更新)

サクちゃんへ

こんにちは。

京都では2度目の緊急事態宣言が出されてからずいぶん経ちました。気軽に遠出ができていた頃がずいぶん前のようです。これまで特に旅行好きというわけではなかったのですが、コロナになってからそれらがとても懐かしく感じます。

きのう『TIMELESS 石岡瑛子とその時代』という本が届きました。このあいだ東京でも展覧会が開かれ大盛況だったという有名なデザイナーですが、その本のプロローグを読んで猛烈に旅に出たくなりました。エネルギッシュな彼女がニューヨークでインタビューを受けるシーンが冒頭だったからかな。42歳のころに彼女は「日本での仕事に見切りをつけて渡米」したそうですが、そのときの世界の広がり方ってどんな感じだったのかなと思います。

旅行をすると、自分の中の窓という窓が開かれ、ふわっと浮き上がって飛んでいくような感じがありませんか? 
これまでとどまっていたところを離れ、そこを見下ろしながら、なんて小さなところで縮こまっていたのだろうと驚くような。
わたしは今、猛烈にそれを欲しているようです。

ー・-・-

前回は、「作る」ことについてやりとりしましたね。
サクちゃんは日記の中で星野源さんの『フィルム』の歌詞を引用してくれていました。わたしもあの曲は大好き。特にサクちゃんが引用してくれた、
「どんなことも  消えない小さな痛みも 雲の上で笑って観られるように どうせなら作れ作れ 目の前の景色を」
この部分、とても好きです。

先日、星野さんが新曲を出しましたね。タイトルはまさに『創造』。
「何か創り出そうぜ 非常識の提案 誰もいない場所から直接に 独(いち)を創り出そうぜ そうさYELLOW MAGIC 色褪せぬ遊びを繰り返して」
星野さんは「作る」という行為を心から信じているのだろうなと思いました。そしてわたしもそれを信じていいのだと励まされたような。

「作る」ことは「自分を知る」ことだと前々回わたしは書きました。だから、「作る」を信じるということは、「自分」を信じるということでもあるんだろうなと、この曲を聴きながら思います。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
サクちゃん蘭ちゃんのそもそも交換日記

土門蘭 /桜林直子

東京でクッキー屋さんをしている「桜林直子(サクちゃん)」と、京都で小説家として文章を書く「土門蘭(蘭ちゃん)」は、生活も仕事も違うふたりの女性。この連載は、そんなふたりの交換日記です。ふたりが気が合うのは、彼女たちに世界の「そもそも」...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

occhaho 「どこまで解像度を上げて細部にまで『そのお店らしさ』をもって選べるかが問われる」 毎日の暮らしや家を整えることもこういうことなのかな。って思った。 https://t.co/TfYHjouzho 8ヶ月前 replyretweetfavorite