前回、PTAが主導してメールによる連絡システムを小学校に導入した話をしました。インバウンドマーケティングとは一見何の関係もなさそうに見えるこの施策ですが、実はその後のさまざまな局面において、PTAが自由に使える保護者向けメール配信システムがあることが、非常に重要な役回りを果たすことになりました。
その最も大きな成果の1つが、昨年9月に初めて開催した「ワークショップ大会」です。ワークショップ大会の狙いや内容については、昨年10月の本コラムの記事「小学校のワークショップ大会で見えた、「親が学ぶ」姿勢の大切さ」に詳しく述べましたので、そちらをご覧いただければと思います。
昨年のコラムでは、このイベントはあたかもアイデアを思いついてからすっと実現したかのように書かれていますが、実際はかなり紆余曲折がありました。特に、本部役員のお母さん達の間に手間のかかることは、なるべくやりたくないという強い反発があり、「保護者からワークショップのアイデアを募り、人手が足りなければさらに協力者を募れば良い」という私のアイデアにも、「そんなアイデアを出したり協力を申し出たりする保護者はいない」と反対されました。
たしかに、そういう保護者は一般的には「ほとんど」いません。でも、数人ぐらいはいるかもしれない。私は、企画の段階でその「数人」が呼びかけに応じて現れてくれることに期待をかけていました。
通常のPTAや学校の仕組みであれば、この出てくるかどうかも分からない「数人」の存在を前提にイベントを企画するということは、あり得ません。なぜなら、その人を探し出すためのコミュニケーションのコスト(手間)が、あまりにも大きいからです。