緊急事態宣言のまっただなか、不倫相手を追って引っ越しした女性の話

小説家の森美樹さんが自分自身の経験を交えながら、性や恋愛について考えるこの連載。新型コロナウイルスは未だ私たちの生活を揺るがしています。そんな中、不倫関係にある男性を追いかけ、引越すという決断をした友人がいました。彼女の行動に対して森さんは何を思ったのでしょうか。

2020年5月、GW明け。知人女性が関東から九州へ引っ越した。

当時は確か緊急事態宣言の真っ只中で、よくもまあそんな時期に引っ越しを決めたなと私はひそかに心配していた。というのも彼女が引っ越す理由が仕事や家庭の事情ではなく、男を追いかけるためだったからだ。しかも男性には妻子がいる。いわゆる不倫だ。

一昨年に離婚をして1200万円を手にしていた彼女

彼女、R子はアラフィフで無職、バツイチだ。離婚をしたのは一昨年で、離婚の発端はR子の不倫(現在のお相手とは別)である。にもかかわらず、R子は1200万円の慰謝料をもらったという。なぜ? と首を傾げたが、夫婦には当事者にしかわからない事情があるものだ。もしかしたら不倫を超える何かが夫婦間にあったのかもしれない。

私は狡い人間なので、「不倫も浮気も徹底的に隠してやって、表向きは優雅に専業主婦やっていてもよかったんじゃないか」と思ってしまう。だってR子の趣味ときたら、キャンドル集め、とか、ポーセラーツ(白磁器に転写紙などを使ってオリジナルの食器を作ること)とか、生活感のないものばかりだったから。

まあでも何はともあれ1200万円を手にしたのだから、人生の後半をゆっくり立て直すのもいいかもね、と私が勝手に前向きになるも、

「慰謝料は半年で3分の2なくなった」

とR子はのたまった。実家に身をよせていたので、家賃はかかっていない。なのに半年で800万円を消費? 何に? もしかしたら投資したのかな。学校にでも入学したとか。と、またもや私が勝手に前向きにとらえるも、

「彼好みに身体を改造したり、彼に会いに行ったり」

と、のたまった。離婚の発端になった彼ではない今彼とはネットで知り合い、九州まで彼女が会いに行き、彼が上京する時は彼女が交通費や宿泊費を払っているのだそうだ。食事代もプレイ代(夜のプレイ含む。普通のプレイは普通のホテルではできないからね)もグッズ代も彼女が支払っている(グッズの保管場所も彼女の実家。妻子持ちには託せないからね)。

そう、R子には貢ぎ癖があったのだ。今彼の誕生日にはパソコンを買ってあげた、とご満悦である。

R子はお金を払うことで承認欲求を満たしているんだな、と私は納得した。

引っ越し前夜のLINE

前置きが長くなったが、R子が引っ越したのはコロナ禍で必然的に彼に会う回数が減ってきたからだ。それと手持ちのお金が少なくなったから。交通費や宿泊費で消費するよりも、いっそ近くに住んだほうが節約になるし監視もできる(今彼はR子より10歳ほど若くイケメンで、モテ要素がたんまりある)。

彼の地へ旅立つ前夜、R子は私にLINEしてきた。

「こんな私でも友達でいてくれる?」

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アラフィフ作家の迷走生活

森美樹

小説家の森美樹さんは、取材や趣味の場で、性のプロフェッショナルや愛への探究心が強い方からさまざまな話を聞くのだそう。森さん自身も20代の頃から性的な縁に事欠かない人生でした。アラフィフの今、自分自身の経験を交えながら、女性の性や愛を追...もっと読む

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