新幹線vs.エアライン#10】チームプレーでついに実現「のぞみ」12本ダイヤ

1時間当たり最大12本運行する世界一過密な「のぞみ」のダイヤは、多くのスタッフのチームプレイで実現しました。

数秒の積み重ねが不可能を可能に
チームプレーでついに実現「のぞみ」12本ダイヤ

鉄道写真家・村上悠太

 まさに「チームプレー」だ。JR東海が運行する東海道新幹線は、ピーク時には1時間当たり片道10本の「のぞみ」が運行するが、2020年春のダイヤ改正でさらに2本増やし、1時間当たり片道最大12本の「のぞみ」が運行する。東海道新幹線にはほかにも「ひかり」が2本、「こだま」が3本も走っていて、これ以上本数を増やすのは容易ではない。しかし、JR東海の各部署が、パスをつなぎトライを目指すラグビーさながらのチームプレーで世界一過密ともいえる「のぞみ12本ダイヤ」の実現にこぎつけたのだ。

 「金曜日夕方の下り列車など、平日でも時間帯によっては満席状態になることがある。満席はお客様にとって〝品切れ〟の状態であり、改善を急がねばならない」とJR東海・新幹線鉄道事業本部の辻村厚・運輸営業部長が話す。

 現在の東海道新幹線は主力車両N700Aが中心だが、走行性能や東海道新幹線内の最高時速がわずかながら劣る700系も併せて運行中。両者の性能差が、現状以上の増発がかなわなかった理由の1つだ。しかし、20年春までには東海道新幹線から700系が引退し、すべてN700Aに統一され、新型のN700Sも登場する。車両の違いによる性能差がなくなることで、本数を2本増やせるのではないかという機運が生じた。

 新ダイヤの実現には、東京駅での折り返し時間を短くすることが非常に重要な要素となる。

 中でも車内清掃の時間短縮は必須条件だった。車内清掃を担う新幹線メンテナンス東海(SMT)は現在でも列車が到着してからおよそ12分で清掃を済ませ、車内に新たな乗客を迎えている。スタッフが乗車するのは乗客全員が降車してからなので、実際の作業時間は12分よりも短い。他社にはシートが自動で向きを変えるタイプの列車もあるが、東海道新幹線の車両は伝統としてスタッフがシートの向きを1列ずつ転換。また、枕カバーも1323席すべて交換しているため、作業内容は多岐にわたる。

 「プロジェクトが始まった約2年前に本社に呼ばれました」とSMTの中島美津代さんと廣瀬明奈さんが当時を振り返る。のぞみ12本ダイヤ実現のためには、清掃時間を10分にする必要があった。スタッフの人数はそのままで約2分の短縮、しかも列車の本数は2本増える。もちろんクオリティの低下は厳禁。スタッフたちが知恵を絞り、特製の掃除用品の開発、トイレ清掃など手順の見直しで作業時間の短縮に成功した。10月からすでに10分間清掃を行っており、本番までの準備に余念がない。

「数秒間」の積み重ね

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