2話前に掲載した「3Dプリンタがもたらす消費者への「ご利益」とは?」という記事の中で、3Dプリンタを使った歯科治療を紹介しました。歯の詰め物などの歯科技工物が、3Dプリンタで作れるというお話です。この技術、日本では思ったほど普及が進んでいません。いったい何故なんでしょうか?
現在、日本国内にある歯科技工所の数は約1万9千と言われています。その90パーセント以上が1人、または数人で運営される小規模の個人事業なのです。そのため、大掛かりな設備投資や最新技術の導入はなかなかできないのです。
一方、3Dプリンタの発達に伴い、タイや中国に最新の設備を備えた大規模技工所が立上がってきました。スキャンしたデータは歯科医院からネットを経由して、海外の技工所へ瞬時に送られます。日本の技工所だったら技工士が一人で行う7、8種類の作業が完全分業化されており、技工所というよりも「技工物工場」といった様相を呈しているのです。出来上がった技工物は、数日以内に宅配便で日本に発送されます。
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